ガンバのすべてを一変させた! 新指揮官、宮本恒靖はやはり只者ではなかった

2018年07月28日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「あれで発奮しない選手はいない!」

試合中はテクニカルエリアに出ずっぱりだった宮本監督。選手たちを鼓舞し続け、ホームサポーターをも熱くさせた。写真:川本学

[J1リーグ・18節]G大阪1-1鹿島/7月28日/吹田S
 
 突然の監督就任が決まった直後、宮本恒靖はひと言、こう答えた。
 
「みんなで頑張ります」
 
 決意、使命感、高揚感、不安、そして重圧。すべてがこのワンフレーズに凝縮されているように感じた。
 
 新政権の初陣となった土曜日のJ1リーグ・18節、鹿島アントラーズ戦。ガンバ大阪の選手たちは立ち上がりから、圧巻と称えていい闘争心を示した。倉田秋が死に物狂いでボールを追い、遠藤保仁が驚くほど広範囲をカバーして動き回れば、アデミウソンはファン・ウィジョ並みに身体を張って、相手DFに食らいついた。こちらは1週間のインターバルがあり、相手が中2日での試合だったとはいえ、鋭いフォアチェックと執拗なプレッシングは、それまで5戦勝ち星なしのなかではお目に掛かれなかった代物だ。誰もが危機感を抱いていた。ムードを高めたのはほかでもない、闘将ツネである。

 
 ヤットは言う。
 
「できないことに関しては明確に指摘する。そんな厳しさがあるんでね、ツネさんには。やってやるぞ、やらなきゃいけないって雰囲気がある。ここで変わるしかないとは、みんなが感じているところ」
 
 この日の観衆は2万8534人と、今季3番目の入りだった。当日券を買い求める長蛇の列ができ、台風の影響がなければもっと売れていただろうと関係者は残念がった。チームバスを迎えるサポーターが熱い声援を送り、試合前のメンバー発表では、新指揮官のコールに地鳴りのような大歓声が巻き起こった。誰もが、41歳の新監督に想いを乗せたのだ。
 
 ツネ様は、「あれだけの雰囲気を作ってもらって発奮しない選手はいない」と話し、こう続けた。
 
「本当に心強かった。サポーターのみなさんも苦しい想いをしている。勝利を届けるんだという強い想いを、選手たちはピッチで示してくれたと思うし、あの頑張りは称賛に価すると思う。勝利に繋がらなかったのは残念でしたけど、戦術を落とし込む時間が限られているなかで、その想いに応えようと奮闘した選手たちを今日は称えたいと思います。練習からして高い意識、意欲を持って取り組んでいましたね。それを試合でも出すんだという気概があって、とりわけ守備の部分では期待した通りの内容を見せてくれました。フリーキックでの失点はもったいなかった。それでも気落ちすることなく盛り返して、後半はどんどんチャンスを掴みましたから。試合後のロッカールームには、もっとやるんだという雰囲気がありました」
 

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