「森保ジャパンは間違いなく弱い!」英誌の熟練記者はそう言って、新指揮官に絶大な期待を寄せる

2018年07月27日 マイケル・プラストウ

日本人監督よ、この追い風に上手く乗ってくれ!

日本人監督しては“初めてのケース”。プラストウ記者は森保新監督の手腕に太鼓判を押す。(C)Getty Images

 日本のサッカーが次のステップを踏み出した。西野朗監督からバトンを受けたのは、森保一監督だ。「日本人監督よ、この追い風に上手く乗ってくれ!」と言いたい。
 
 Jリーグは今季で26年目。その期間、ナショナルチームでは加茂周氏、岡田武史氏、西野氏と3人の日本人監督が生まれた。今回の森保監督は明らかにこれまでとはアプローチが異なる。ワールドカップを戦った直後の就任であり、4年後の飛躍を見据えたなかで選ばれた、最初の日本人監督なのだ。わたしはそこにきわめて大きな価値を見出す。
 
 もちろん、外国籍の監督が悪いと言っているわけではない。知識も経験も豊富であるし、彼らが持つ世界最先端のフットボール観から学ぶ点はすこぶる多いだろう。日本のフットボールがなんたるかを突き詰めようとした者もいた。だが、得てして効率的に稼働しないケースが多かった。英語で表現するなら、まさに「Seize the day!」(その日を掴め!)。ときには自信を持って、自分たちの良さも信じたほうがいい。いまはまさに、そのフェイズにある。


 
 
 森保監督については、選手時代から個人的に好感を抱いていた。
 
 あの「ドーハの悲劇」の経験者で、当時のハンス・オフト監督がほかの誰よりも信頼を置き、常に対話していのが森保氏だったと記憶している。三浦知良や中山雅史、ラモス瑠偉、福田正博ら華々しく、個人技にも長けた選手たちと比べれば、どちらかと言うと地味な存在だった。それでもオフトジャパンにおいては、彼の継続的な安定感あるプレーこそが特別な意味を持っていたのだ。チームの要というよりも、チームの根幹を支える絶対的な基盤である。ゲームの流れを読み、なによりフットボールIQが高い。そしてなにより、いつも冷静に振る舞っていた。
 
 指導者としての道も一歩ずつ堅実に歩んできた印象だ。サンフレッチェ広島では、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督をものの見事に支え、表立って前に出ることはなかった。ペトロヴィッチ監督が去ってから、その船を引き継いだわけだが、圧巻のチームマネジメントで黄金期を築くのである。

 ベースを作り上げたのはかならずしも彼ではなかったが、すべてのプロセスに関わっていたからこそ、チームの長所を最大限に引き出せたのだ。
 

次ページ選手との対話を大切にし、声を拾うのが巧みだ

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事