【日本代表監督】森保一はベストな選択だったのか

2018年07月27日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

外国人監督を招聘したほうが…

日本代表監督に就任した森保氏。写真:徳原隆元

 ロシア・ワールドカップでベスト16入りという結果を残したのだから、西野朗監督と同じ日本人、その西野体制でコーチとして6月の本大会に帯同した森保一の代表監督就任にそこまでの違和感はない。
 
 「コミュニケーションを重視するならやはり日本人監督」とのイメージがある現状ではむしろベストな選択。Jリーグで広島を3度J1制覇に導き、その実績だけで判断すればそういう結論に行き着く。
 
 もしかすると、ここで外国人監督を招聘すると「なぜ?」と疑問視する向きが大半を占めていたかもしれない。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督を「コミュニケーション不足」で解任しておいて、言葉の壁が間違いなく存在する外国人監督をこのタイミングで迎え入れたらそれこそ謎だった。
 
 U-21日本代表との兼任を不安視する声もあるが、そんなものはやってみないと分からない。かつてフィリップ・トルシエ監督がA代表とアンダー世代の代表を掛け持ちして結果を出した例もあるだけに、兼任は決してネガティブなことではないだろう。
 
 この8年間のA代表を見てなにより感じたのは、4年間のスパンが長いということだ。ザックジャパンは2011年のアジアカップ制覇をおそらくピークに以降は緩やかな下降線を辿り、ブラジル・ワールドカップが近づくにつれてマンネリズムに陥った。15年に発足したハリルホジッチ政権は選手を頭から押さえつけるような指揮官の手法が奏功せず、ロシア・ワールドカップの数か月前に内部から崩壊してしまった。
 
 だから、森保監督を義務的に4年間引っ張る必要はない。例えば森保監督でチームのレベルアップを図れなければ、指揮官を代えて空気を入れ替える。最初の目標をアジアカップ制覇に定めて、それを達成できなければ代表監督の選定を見直す、そうした臨機応変さが協会サイド(技術委員会)にも求められるのではないか。
 
 ロシア・ワールドカップのベスト16入りはハリルホジッチという"反面教師"がいたからこそという見方もできるだろう。現に、本大会の開幕2か月前に就任した西野監督は選手との対話を通じて彼らのストレスを取り除いたことでチームに一体感をもたらした。監督が急きょ代わっても動揺せず、選手たちが持てる力をそれなりに発揮できたという点でも、ひとりの指揮官にこだわる必要はなさそうだ。
 

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