【橋本英郎】日本代表をポジティブに捉えられるのは、ロシアW杯の“トレンド”に乗れていたから

2018年07月27日 橋本英郎

目を引いた「堅守速攻チームの大善戦」

ロシアW杯には過去の大会とは異なる特異な特徴があった。そのほぼすべてに、日本代表も該当していたのだ。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 ロシア・ワールドカップ終わりましたね。そして、J1リーグ再開です!
 
 日本国内の話題はすでにアンドレス・イニエスタ、フェルナンド・トーレスになってしまっていますが、今回は僕なりのワールドカップ総括をさせてもらおうと思います。
 
 個人的な見解になりますが、日本代表の戦いぶりに加えて、今回のワールドカップの特徴を考えてみました。

 
 今回のワールドカップは最終的にフランスが優勝しましたが、決勝ではクロアチアを応援しているひとも多かったのではないかと思います。小国で人口もそう多くないチームが勝ち上がる。ロシア大会は、これまでの考え方や既成概念を覆すきっかけになったのではないでしょうか。決勝は、クロアチアが延長戦をこなしてきた上に準決勝から中3日で、フランスが中4日。この差が大きかったと思います。

 
 番狂わせを起こしたチームなどを含めて、ワールドカップを紐解いてみます。まずは特徴ですが、特記事項は3点ありました。
 
 まずは、堅守速攻のチームが大善戦をしたことです。みなさんも感じたと思います。ドイツを破ったメキシコ、準決勝まで駒を進めたイングランド、ベスト8まで勝ったスウェーデンなど堅守をベースに勝ち上がるチームが多くいました。
 
 2つ目は、1つ目とリンクして、前述した小国、人口の少ない国が善戦したことです。大会序盤で注目を集めたのがアイスランドでした。いきなりアルゼンチン相手に引き分けましたからね。他の試合でも健闘を見せていましたが、結果的にグループリーグを突破することはできませんでした。それでも、観る者に与えた希望は大きかったと思います。解説者の方も何度か口にしていました。一貫したカリキュラムで代表チームを強化してきた、そのことがワールドカップ出場に繋がったのだと。
 
 その点では、スウェーデンについても同じことが言えるのではないでしょうか。ズラタン・イブラヒモビッチというスーパースターに依拠したかつての戦い方から脱却して、チーム全員の意思疎通を第一にした戦い方で勝ち上がった。初戦の韓国戦では、それを前面に押し出した姿がとても印象的でしたね。お互いが引いて守るなかでも、足下でかならず繋ぐのではなく、あくまで高身長のターゲットを活用する空中戦を徹底して、かつ堅守を見せてくれました。戦法がまるでブレませんでしたね。
 
 3つ目は、アフリカ勢がグループリーグで全滅した点です。
 
 アフリカのチームは個の力が凄まじい。なのですが、今大会では組織力で防がれてしまった部分が大きかった。試合展開は速く、そして強い。以前に比べて全体的な組織力も上がっていて、それ以上に各国のアフリカ勢に対する対応力が優れていました。しっかり分析ができていたように感じました。

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