クルピ解任の背景にあった悩み、嘆き、不安… 迷走ガンバに何が起きていたのか?

2018年07月24日 飯間 健

選手個々のアイデアに頼るクルピ体制はもはや限界を露呈

清水戦に敗れ、うなだれるG大阪の選手たち。宮本新監督は、状況を打開できるだろうか。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 ガンバ大阪は7月23日、レヴィー・クルピ監督の解任と宮本恒靖新監督就任を発表した。ライバルのセレッソ大阪で辣腕を振るったクルピ監督は今季就任したばかりだが、わずか7か月の短命政権に終わった。夏の補強は一切なく、放出ばかりだった支援体制の乏しさに同情の余地はあるものの、その決断は致し方ないところだ。
 
 17試合を終えて4勝3分け10敗。攻撃的スタイルを掲げながら15得点はリーグワーストタイ。J2降格圏の16位と低迷しており、12年以来の悪夢だけは避けなければならなかった。
 
 解任への決め手となったのは、広島戦(18日)と清水戦(22日)の2試合だった。ワールドカップで中断した2か月。クラブは立て直しに期待を寄せていた。だが広島には0-4、清水にはホームで1-2と競り負けた。一向に攻守に形が見えない惨状。梶居勝志強化部長は「課題をどう修正できているのか評価しないといけない」と清水戦後に話したが、選手個々のアイデアに頼るクルピ体制はもはや限界を露呈していた。
 
 求心力の低下も甚だしかった。開幕直後は「バランスが悪い」「今は見極めている段階」と指揮官は強がっていたが、開幕から10試合以上を経てもなお同じフレーズを繰り返した。負ければシステムや選手の組み合わせを入れ替えるだけ。その理由を選手に説明することもなかった。ベンチ外が続き、夏に移籍した選手は「監督から何かを言われることはない。自分が求められているモノが分からない」と悩んだ。また主力選手の1人は「もっとチームとしての形、決まりごとが欲しい」と嘆いた。
 
 極めつけは中断期間中のトレーニングメニュー。9日間のオフを経て6月19日から全体練習を再開したが、雨が降ったら練習時間が短縮される事態が続いた。強度の強い練習はなく、相変わらず紅白戦ばかりに明け暮れた。当然、夏場で走り切る体力は蓄えられるわけがない。選手間では「こんなんで大丈夫ですかね?」と不安がる声ばかりが漏れていた。
 

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