最下位に低迷する名古屋、4人の新戦力は浮上の切り札となるのか?

2018年07月24日 今井雄一朗

E・ネットは首位の広島を相手に堂々のゲームさばきを披露

22日の広島戦では、E・ネット(中央)や前田(右端)ら4人の新戦力がスタメンに名を連ねた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 Jリーグの全チームが新戦力を起用できるようになった17節は、神戸のイニエスタや鳥栖のフェルナンド・トーレスらがJデビューを果たすなど各地で話題が尽きなかったが、名古屋においてもそれは同様だった。

 中谷進之介、エドゥアルド・ネット、丸山祐市ら中断期間に獲得した3人の新戦力に加え、試合4日前に合流したばかりの前田直輝までスタメンに名を連ねる"大盤振る舞い"に、会場は「何を見せてくれるのか」という期待感を含んだザワつきが止まらなかったのである。
 
 結論から言えば、彼らの獲得は間違いなくチームに良い変化をもたらしている。例えば丸山と中谷のセンターバックコンビは、ビルドアップを苦にしないという名古屋への親和性もさることながら、本分である守備面での貢献度がやはり高い。

「守備になった時にすぐ切り替えて、中を締めようということは自分のところから要求していた」と中谷がリーダーシップを発揮すれば、「名古屋の戦い方が前に比重を置いているぶん、後ろがしっかりすれば守れるという考え方でやっている」と丸山は球際の攻防に責任感を見せた。
 
 今節の相手はパトリックと工藤壮人というかなり厄介なFWだったが、チャンスを作られても懸命な対応を見せ、無失点に貢献。「今日は正直言ってミッチ(ランゲラック)のファインセーブが3点分くらいあったので、そこに助けられた。もう少し自分たちのところで止められるようにはしたい」(中谷)と十分な手応えを得るには至らなかったが、DFとしての安定感はそれでも見せた。

 まだ組んで2週間ほどのコンビだけに今後のユニットとしての成長はさらに見込めるところがあり、1試合平均で2失点近かった守備の改善が進むことにも期待ができる。
 
 守備的MFながら攻撃面での活躍が求められるE・ネットは、本人曰く「3か月ぶりの公式戦で試合勘やリズムをつかむのが大変だった」としながらも、さすがのボールさばきと視野の広いプレーを披露。最終ラインからのビルドアップを引き取り、前線に効果的な配球をしていく澱みのなさは、その実力の確かさを再認識させるに十分だった。

「相手も守備が良いチームで、しっかり守ってしっかり走れていたので、そういった部分で我慢が必要だったよ」と、これからホームになっていく名古屋の蒸し暑さには辟易としながらも、首位の広島を相手に堂々のゲームさばきを見せ、チームの反撃を中盤の底からアシスト。パトリックと空中戦で渡り合うなど身体の強さという持ち味も発揮し、守備的なポジションの選手としての有用性も証明してみせている。
 

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