今さら聞けないイニエスタの凄みを徹底解説!見逃せないプレーは? Jリーグに与える影響は?

2018年07月20日 清水英斗

天才プレーメーカーがJリーグのピッチに立つ。夢のような本当の話だ

神戸の練習に合流したのは20日。22日のリーグ戦まではわずかな時間しかないが、イニエスタは出場に前向きだ。写真:川本学

 忙しい、忙しい。大盛況に終わったロシア・ワールドカップの"ロス"に悩む暇は、実際のところ、ほとんどなかった。Jリーグが今、大きな注目を浴びているからだ。
 
 スペイン代表としてプレーした最後の試合、7月1日のワールドカップ・ラウンドオブ16、ロシア戦から、わずか3週間。世界トップの舞台で親しまれてきた天才プレーメーカー、アンドレス・イニエスタが、Jリーグのピッチに立つ。夢のような本当の話だ。J1リーグ17節、ホームゲームの湘南戦でデビューを飾ると見られている。
 
 不安要素は決して少なくない。短期間のオフから、いきなりの公式戦だ。コンディションは100%とはいかないだろう。日本の高温多湿の気候、あるいは欧州に比べて硬いピッチへの適応など、環境面でも問題を抱えるかもしれない。
 
 しかし、それでも随所に見られるであろうイニエスタの輝きは、この目に焼き付けたいものだ。彼の特筆すべき能力は、ギリギリで判断を変えられること。タイミング、相手DFの動きを見ながら、あまり効果的ではないファーストチョイスを迷いなく捨て去り、瞬時にベターな選択肢に切り替えていく。
 
 これが普通の選手には出来ないのだ。無理筋のプレーでも、イチかバチかとやり切って失敗する。そんなプレーはサッカーでは少しも珍しくないのだが、イニエスタという選手は、最後の最後まで、変幻自在の選択肢を持ち続ける。
 
 それが可能になるのは、いつでも触れる位置にボールを置いているからだ。さらに相手に寄せられても、ヒラッといなす技術に絶大な自信を持っている。余裕だ。イニエスタはいつも余裕だ。ギリギリで判断を変える彼のプレーに、「あ~だまされたっ!」と、ひっくり返るのが楽しみだ。
 
 そして、もう一つ。イニエスタのパスは圧倒的に優しい。味方の足下に吸い込まれるような質を持っている。
 
 それはスルーパスでさえ、同様だ。イニエスタの場合、スペースにオラッと蹴って、味方を懸命に走らせるエゴイスティックなパスはほとんどない。スペースが空いて、なおかつ味方がジャストで走り込むタイミングを計算し、糸引くような優しいスルーパスを出す。これも世界のクオリティー。見逃したくないプレーだ。
 

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