再開J1で清水が台風の目に?3-0完勝のC大阪戦に見る期待と不安

2018年07月20日 前島芳雄

今季初の無失点勝利を挙げた清水に漂う浮上の予感

クリスランがクロスに合わせてヘッドをねじ込み、トドメの3点目を奪った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 この試合だけを観たC大阪サポーターは「清水強し!」という印象を持ったかもしれない。
 
 C大阪は昨年にルヴァンカップと天皇杯で2冠を達成し、リーグ戦でも3位に入って、今季は開幕前から優勝候補の一角に挙がっていたチーム。ACLと並行した過密日程の中で7勝5分け2敗と勝負強さを見せ、再開前の時点で1試合未消化ながら4位に入っていた。
 
 それに対して清水のほうは、開幕前の一般の順位予想では降格候補に入っており、試合前は5勝3分け7敗の10位。大方の予想より健闘しているものの、ブレイクしきれてはいなかった。
 
 だが今節を観るかぎりは、清水が真っ向勝負で堂々と完勝したという印象が強い。試合内容も、堅守速攻に徹したわけではなく、ボールポゼッションの差も5%ほど。自分たちでボールを握りながら攻めきるという場面をたびたび作り、それを得点にもつなげていた。
 
 もちろん、C大阪は全体的に選手の動きが重く、本調子とはほど遠かったという面もある。だが清水としては、「ゲームをコントロールしながら自分たちがやるべきサッカーをしっかりと表現していた」(ヤン・ヨンソン監督)という手応えがあり、それができれば今回のような結果につながるという自信を深められたことは大きい。
 
 では、具体的に清水のどこが良かったのか、またそれは今後も期待できるのか、改めて検証してみたい。
 
 まず守備に関しては、4-4-2の3ラインでコンパクトな守備ブロックを作り、中盤でボールを奪って速い攻撃につなげていくというコンセプトは継続。今節でもその規律はチーム全体として忠実に守られ、90分間破綻を見せなかった。その点に関しては選手たちの理解度も高く、コンディションや集中力さえ維持できれば、今後も継続していけるだろう。
 
 そのうえで「今日はクロス対応をしっかりやっていくことも求めていた」(ヤン・ヨンソン監督)と、中断前から課題に挙がっていた部分の改善を図っていた。その意味では、後半は反撃に出たC大阪に多くのクロスを入れられ、何度かヒヤリとする場面はあったものの、完全な決定機には至らなかった。ここは練習の成果が表われ、今季初の完封勝利につながった。
 

次ページ攻撃のバリエーションが増えたのは好材料だ

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