ストイコビッチ独占インタビュー 「日本代表の監督には非常に興味がある」

2014年06月29日 ウラジミール・ノバク

3試合で勝点1に終わったチームに良かった点は…。

 現役時代はユーゴスラビア代表としてワールドカップに二度出場し、引退後は監督として名古屋グランパスをJリーグ王者に導くなど、日本で実績を築き上げたドラガン・ストイコビッチは、いわゆる「世界」と「日本」を熟知するサッカー人だ。
 
 そんな「ピクシー」は、ブラジル・ワールドカップで惨敗した日本代表をどう見たのか。結果への落胆、采配への疑問、日本代表監督への興味など、率直に語った独占インタビューをお届けしよう。
 
 インタビューのロングバージョンは、2014年7月1日発売の『週刊サッカーダイジェスト 7/15号』に掲載。

――◆――◆――
日本代表の印象
 
「率直に言おう。日本のパフォーマンスと結果にはがっかりした。グループCは絶対的な本命が不在で、日本には大きなチャンスがあった。ベスト16進出は、現実的な目標だったはずだ。私も大いに期待していたんだ。そう、多くの日本人と同じようにね。それが……」
 
日本の良かった点、悪かった点
 
「3試合で勝点1に終わったチームにポジティブな点を見つけるのは難しい。選手たちは全力を尽くした。良かったのはそれくらい。ただ、頑張るだけではワールドカップでは何も得られない」
 
「ネガティブな点は攻撃。目的が感じられず、効果的なプレーがほぼなかった。例えば、コロンビア戦。相手のジャクソン・マルティネスやハメス・ロドリゲスが常にゴールへの道筋を描いていたのに対し、日本には意図が見えなかった。意図はゴールへの決意と言い換えられる。そのゴールへの決意が、勝利への決意、勝利への可能性となる」
 
「ザッケローニ監督の采配にも首を傾げざるをえない。監督にはそれぞれのアイデアがあるが、私と彼の考えは大きく違うようだ」
 
コートジボワール戦を振り返って
 
「もっとも勝利に近づいた試合だっただけに、敗北という結果が残念でならない。60分まで日本はよくやった。先制し、目指すパスサッカーもできていた。しかし、ドログバが入った途端、日本は崩れていった。フィジカルで圧倒され、精神的にも追い詰められていったようだった。立て続けに2点を奪われ、その後は巻き返す力が残っていなかった」

日本対コートジボワール【PHOTOギャラリー】

日本対コートジボワール【週刊SD特派の寸評・採点】
 
ギリシャ戦を振り返って
 
「ものすごくがっかりさせられた。1時間近く数的優位で戦いながら、あまりに無策だった。ロングボールは本来のスタイルではなく、練習もしていないはずなのに、最後の手段が長いパスとパワープレー。ピッチを幅広く使ってスペースを生み出し、相手を揺さぶるべきだった。そうすれば1人少ないギリシャは疲弊して、守備に綻びが生じたはずだ。ロングボールではなく、素早いワンタッチプレーやアタッキングサードでのショートパスの連続、それが必要だった。整然と統制された守備に穴を空けるには、システム変更も考えるべきだった。ザッケローニは3バックを得意としていたはず。3-4-3をなぜ使わなかったのか」
 
――この日本対ギリシャ戦が今大会のワーストゲームだと、早くもそんな声が上がっていますが?
「同意する。100パーセントね。相手は10人だ。さすがに崩すだろう、ゴールを奪うだろうと、そう思いながら試合を観ていた私を、日本は裏切った。ギリシャにとって、結果的にこの勝点1が大きかった。ただ、私はいまでも、決勝トーナメントに進むべきはギリシャではなく日本だったと思っている」

日本対ギリシャ【PHOTOギャラリー】

日本対ギリシャ【週刊SD特派の寸評・採点】
 
コロンビア戦を振り返って
 
「突破を決めていたにもかかわらず、コロンビアはモチベーションが落ちていなかった。日本は、前半終了間際に同点としたところまではよかったが、後半は焦りが目立った。組織が乱れ、前に急いだところを相手にうまく突かれてしまった。攻撃に意図が見えず、ゴールへの道筋が描けていなかった。コンパクトな陣形を保てず、コロンビアに面白いようにカウンターを許してしまった」

日本対コロンビア【PHOTOギャラリー】

日本対コロンビア【週刊SD特派の寸評・採点】
 

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