西野ジャパンを縁の下で支える"クローザー"山口蛍の矜持

2018年07月02日 佐藤俊

ボランチのファーストチョイスは長谷部と柴崎。山口はバックアップという位置づけだ

グループリーグ第3戦のポーランド戦にフル出場した山口。90分間プレーしたことでコンディションは上がっているようだ。(C)Getty Images

 いよいよ決戦である。
 
 前日練習はスタジアムの芝生の状態が良くないので、ロストフという地元クラブのスタジアムでの練習になった。
 
 山口蛍はリラックスした表情でロンドン五輪組の選手たちとボール回しをしていた。
グループリーグは、初戦のコロンビア戦にクローザーとして出場し、2-1の勝利に貢献した。そして、3戦目のポーランド戦は、今ワールドカップ初のスタメンで柴崎岳と組んでプレーした。結果は出なかったが、チームはグループリーグを突破し、山口も90分間、フルにプレーすることでコンディションがかなり戻ってきたという。
 
「ポーランド戦は、暑くてけっこう疲れて、きつかったとみんな言っていたけど、それは試合をこなしていなかったから。それを1回こなしたことで自分も含めて、みんなコンディションが上がった。自分は、試合の途中からでも最初からでもよりいい状態で挑めるんじゃないかなと思います」
 
 表情を見ると、少しすっきりした感が見受けられる。
 
 今大会は、4年前のブラジル大会と異なり、山口はレギュラーではない。ボランチのファーストチョイスは、長谷部誠と柴崎岳だ。山口は、長谷部のバックアップという位置づけである。レギュラーで出場できないのは悔しいが、山口は自分の役割を自覚し、まっとうする覚悟を大会前に決めたという。
 
「ブラジル大会の時、試合に出れない選手が負けても我慢して自分のやるべきことをやっていた。そういう姿を見ていたので、自分もやるべきことをやるだけ。今回の役割は最後に守備を整える、ある意味クローザーに徹してもいいかなという感じです。あとは怪我人とかが出た時、自分が出て、チームのためにプレーできればいいかなと思います」
 
 バックアップという役割をまっとうする中、チームは決勝トーナメントに進出した。
 
 ロンドン五輪の時もグループリーグを突破し、ベスト8でエジプトを3-1で破って勢いに乗った。
 
「流れの乗るのはすごく大事なこと」と山口は言うが、ベルギーはFIFAランキング3位の強豪だ。ただ、相手のイメージは掴んでいるという。

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