ベルギー戦の勝機は? 昨年の対戦では酒井宏が好機を築く。柴崎、長谷部のミドルも有効だ

2018年07月02日 加部 究

今大会でもチュニジアに、右サイドで速い連携を許した時には混乱に陥っていた。

昨年11月の対戦では、浅野とのコンビで再三チャンスを作った酒井宏。今回は原口との連係で勝機を見出したい。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 オッズは極端に傾くほど番狂わせが起こり易い。それがサッカーの世界だ。
 
 歴史を辿れば、日本代表は期待値と結果が反比例しがちだが、ベルギーも比例して来たとは言い難い。無欲で臨んだ1980年EUROは準優勝、86年メキシコ・ワールドカップはベスト4に進出したが、最も成熟した4年後の90年イタリア大会ではラウンドオブ16で散っている。FIFAランク上位に定着した最近でも、前回ブラジル・ワールドカップ、2年前のEUROと連続してベスト8止まりだった。

 
 ベルギーの個々のタレントには疑いがない。ネームバリューで比較すれば、イングランド戦でプレーをしたセカンドチームでも、楽々と日本を凌駕する。国際的な観点からすれば、3戦全勝で悠々とグループリーグを突破したベルギーと、ギリギリでノックアウトステージに滑り込んだ日本の顔合わせは、最も興味の薄いカードかもしれない。
 
 しかしだからこそ日本にも付け入る隙がある。ベルギー国民の興味は、既に対ブラジルに向かっている。ロベルト・マルチネス監督がどんなに手綱を引き締めても、このムードは選手たちにも伝染する。ベルギーは自信満々でピッチに立ち、極力省エネでブラジル戦に備えたい。だがベルギーが優勝候補に挙げられるのは、圧倒的な攻撃力がクローズアップされるからだ。逆にスムーズに攻撃のスイッチが入らなければ、確実に焦燥が広がる。
 
 日本は昨年11月に対戦し0-1で敗れた。ベルギーは他にも何度か決定機を作っているから、この惜敗を額面通りに捉えるのは危険だ。しかもベルギーは、GKティボー・クルトワ、FWエデン・アザール、DFヴィンセント・コンパニと3人の攻守の要を欠いていた。ただし日本も、MFのメンバーが一変し、それ以上に組み立ての質が高まった。
 
 一方で前回の対戦でも、日本は攻略のヒントを得ている。相手3バックのサイド、または裏を狙い、俊足の浅野拓磨を走らたり、酒井宏樹とのコンビでチャンスを築いた。今大会でもチュニジアに、右サイドで速い連携を許した時には混乱に陥っていた。
 

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