【ポーランド戦|戦評】先発6人入れ替え、終盤の時間稼ぎ。西野采配は正解だったのか

2018年06月29日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

ひとつの誤算は岡崎の負傷交代

岡崎(9番)が47分に負傷でピッチを去る。交代出場の大迫もここ2試合のキレはなかった。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

[ロシアW杯グループH] 日本-ポーランド/6月28日/ヴォルゴグラード・アレーナ(ヴォルゴグラード)
 
 ベスト16入りを懸けた一戦で、西野朗監督は博打を打った。なんと、セネガル戦のスターティングメンバ―から6人を入れ替えたのだ。最初の2試合はサブだった槙野智章、酒井高徳、山口蛍、宇佐美貴史、岡崎慎司、武藤嘉紀を、ポーランド戦で抜擢したのである。これで負けるようなら決勝トーナメントに行っても到底戦えない、そんなメッセージが含まれているのだろうか。いずれにしても、指揮官は大胆な決断をした。
 
 一方のポーランドもコロンビア戦からスタメンを5人変更しており、ある意味、チームの総合力が問われる試合となった。ちなみに、日本で3試合続けて先発したのは川島永嗣、酒井宏樹、吉田麻也、長友佑都、柴崎岳の5人だった。
 
 システムも4-2-3-1から4-4-2に変更した影響もあり、前の2試合と比べるとチームのパフォーマンスはいまひとつだった。前半こそボランチの山口とCBの吉田を中心にポーランドの攻撃を撥ね退け、32分にはGK川島のスーパーセーブでピンチを凌いだが、後半になると猛暑のせいもあって「きつかった」(山口)。
 
 個のパフォーマンスに向けると、特に酷かったのが左サイドハーフの宇佐美だろう。失点にならなかったものの、53分にカウンターを受けた際の戻りの遅さは首を傾げざるを得なかった。シュートまで持ち込むシーンも少なく、明らかに精彩を欠いていた。
 
  ひとつの誤算は岡崎の負傷交代(47分)だろう。貴重なカードの1枚をこのタイミングで使ったうえに、代わりに入った大迫勇也は試合の流れに乗れず、2トップを組んだ武藤との連係がスムーズではなく、宇佐美も乱調と後半は特にボールの収まりどころがない印象だった。
 
 頼みの柴崎も珍しく細かいミスが多く、59分には課題のセットプレーから失点。ここまで踏ん張っていた守備陣がとうとう崩されたことで、チームは大きなダメージを被ったように見えた。この時点で、他方のセネガル対コロンビアは0-0。このままでは日本のグループリーグ敗退という状況になった。
 
 同点に追いつきたい日本だったが、宇佐美に代えて乾貴士を投入しても決め手を欠いた。それどころか、押し込まれる時間帯が続き、ロベルト・レバンドフスキに決定的なシュートを打たれる場面もあった。

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