【セネガル戦|戦評】失点にも絡んだ乾貴士は“諸刃の剣”。勝ちゲームを引き分けてしまった3つの要因は?

2018年06月25日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

61分の決定機は絶対に決めないといけなかった

全得点に絡んだ乾だが、守備のクオリティは……。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

[ロシアW杯グループH] 日本2-2セネガル/6月24日/エカテリンブルク・アレーナ(エカテリンブルク)
 
 立ち上がりはセネガルのフィジカルに圧倒され、11分に原口元気のクリアミスと川島永嗣のパンチングミスから失点。最悪と言っていいスタートだった。川島自身が「ミス」と認めているように、あれは防げた失点だ。原口のバックヘッドは仕方がない部分もあるが、川島のミスは、日本が勝てなかった大きな要因だろう。
 
 しかし、今大会の日本はこれで崩れるようなチームではなかった。その後もセネガルに押し込まれながらも、34分に1-1と追いつく。柴崎岳のフィードを長友佑都がどうにか収め、最後は乾貴士が右足で蹴り込んだその同点弾で息を吹き返すと、徐々にペースを握っていく。
 
 この日は柴崎のゲームメイクに加え、長谷部誠のカバーリングも光り、さらに右SBの酒井宏樹のサディオ・マネに対する対応も素晴らしかった。吉田麻也と昌子源の両CBもチャレンジ&カバーの連係がとれており、1-1のまま膠着状態に持ち込んだ。
 
 だが、ひとつのプレーが日本のリズムを狂わせる。右サイドに抜け出た柴崎のクロスを、大迫勇也が空振りして決め切れなかった60分のそれである。日本がこの試合で勝利をもぎとるなら、あそこで絶対に決めないといけない。65分に乾がクロスバーに当てたシュートよりも、おそらく60分の決定機のほうがゴールになりやすかった。そう考えると、大迫の決定機逸が勝利を逃した2つ目の要因となる。
 
 実際、ここからセネガルに少し流れが傾き、71分にはムサ・ワゲに勝ち越しゴールを奪われる。最終的に本田圭佑のゴールで追いつくわけだが、ドローに持ち込んだというよりは「勝てた試合」という印象のほうが強かった。
 
 勝てなかった3つ目の要因を挙げれば、乾の守備となる。前半から左サイドバックの長友佑都がイスマイラ・サールとのマッチアップで後手を踏んだのも、左サイドハーフの乾のサポートがいまひとつだったからだ。長友がサールとインサイドハーフのバドゥー・エンディアイエもしくはサイドバックのワゲと1対2に局面があったのも、乾の対応に問題があったからではないか。
 
 確かに、乾は1得点・1アシストと全得点に絡んだ。だが一方で、失点にも絡んでおり、手放しで称賛することはできない。攻撃で機能しても、守備で物足りない。乾はいわば"諸刃の剣"だ。
 

次ページ目を見張った柴崎のゲームメイク

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