デュッセルドルフに咲いた二輪の花…宇佐美貴史と原口元気、日本代表デュオはいかにして復活を遂げたのか

2018年05月15日 了戒美子

“ヒーロー”宇佐美のコールに大歓声が

互いに刺激し合い、切磋琢磨してきた宇佐美(左)と原口(右)。フォルトゥナを躍進に導き、みずからの力でロシア・ワールドカップへの道をこじ開けた。(C)Getty Images

 5月13日のドイツ・ブンデスリーガ2部最終節で、フォルトゥナ・デュッセルドルフはニュルンベルクとの直接対決を制し、見事優勝を果たした。
 
 過酷なアウェーマッチで、しかも2点を先行される苦しい展開。それでも37分に宇佐美貴史が反撃の口火となるヘディングゴールを決めると、59分に同点に追いつき、91分に逆転弾を挙げた。引き分けならニュルンベルクが優勝という状況だっただけに、まさにドラマチックな展開での戴冠となった。
 
 翌14日には地元デュッセルドルフ市庁舎で、市民に向けた優勝報告会が行なわれた。選手一人ひとり、スタジアムのキックオフ前のように名前が呼ばれ、市庁舎のバルコニーに登場する。ニュルンベルク戦で得点を決めた宇佐美はさながらヒーローだ。とりわけ大きな声援に包まれた。

 
 昇格と2部優勝を決めた直後も、報告会でも、宇佐美と原口元気はとても嬉しそうな表情を見せた。ともに長きに渡る不振からついに脱却できた、それを実感しているからこその笑顔だ。
 
 宇佐美にとってシーズン前半戦は、リハビリに近いものだった。前所属のアウクスブルクで実戦から遠ざかっていたため、コンディション調整に時間がかかったのだ。冬の移籍市場で原口が入団してくると、いよいよエンジンがかかった。「調子が上がったの、全部元気くんのおかげって書かないでくださいよ!」と念を押されることもあったが、実際にパフォーマンスが向上したのは原口が加入してから。28試合に出場して8得点、ラスト3試合はほぼフル出場で、かつ優勝が懸かった最終戦でチームを反攻に転じさせるゴールを決めた。ドイツ4クラブ目で初めて目に見える活躍を果たし、手応えを掴んだのだ。

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