欧州ビッグネームを獲得するには?「情報がない状態」の改善が急務だ|岩政大樹がDAZN幹部を直撃! #4

2018年05月12日 岩政大樹

中国は良くも悪くもお金を出すから、ひとつの選択肢に入っている

神戸加入が噂されるイニエスタ(中央)など、欧州トップクラスのスターが来ればJリーグは間違いなく活性化する。(C)Getty Images

 元日本代表の岩政大樹氏がDAZN幹部を直撃する対談企画。最終回となる第4回は、Jリーグを活性化するアイデアやDAZNの今後の戦略に迫った。

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岩政大樹 代表やオリンピックの放映権は、取りにいかないということでしたが?
 
ディーン・サドラー ああいった世界的な大会は、必ず地上波で放送しなければいけない規定があります。加えて、DAZNとして、単発の大会よりも、シーズンを通して応援できるコンテンツを提供したいという方針もあるんです。
 
 また今後は、Jリーグのファンがどの程度、野球の試合を観るのかというクロスオーバーの部分を分析したいと思っています。今まではスポーツのコンテンツが分散されていて、野球が好きな人は自分の好きなチームのコンテンツにしか加入しませんでした。つまり、その放送局が野球しか放送していないと、Jリーグは見られないんです。少なくとも、そのような環境を改善し、スポーツファンに新しい体験を提供したいと思っています。
 
岩政 例えば、DAZN発信でマリノスとベイスターズがコラボレーションする可能性も?
 
サドラー そうした相乗効果をもっと図りたいと思っていますし、Jリーグのみでもいろんなアプローチがあるんです。去年からJ3の試合をすべてライブ配信していますが、高い視聴数を記録した試合もあります。そういう形でJ3でも少しずつファンの獲得につながる施策を提供したいですね。
 
岩政 この先、10年で世界のリーグと比較して競技レベルやリーグ全体の規模などを、どの程度成長させたいと考えていますか?
 
サドラー Jリーグをどこまで成長させるか、という物差しは設けていません。ただ、ヨーロッパで活躍するようなトップレベルのタレントが来れば、一般の方からも注目されるし、リーグ全体のレベルアップにもつながるのではないかと思います。
 
 ヨーロッパの選手たちは、今のJリーグに対してまったく情報がないし、情報がないので関心も持てない状況です。それに比べて中国は、良くも悪くもお金を出して有名な選手を獲ろうとしていますから、ひとつの選択肢に入っています。アメリカもそう。ズラタン・イブラヒモビッチがMLSに行きましたよね。
 
 そういう選択肢のひとつにJリーグもあることをヨーロッパの選手に分かってもらいたい。これはJリーグの良さだけでなく、日本という国の良さも伝えなければいけないと思っています。
 

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