最下位・名古屋は浮上できるのか? 2戦連続ドローで聞こえてくる楽観論と反省の声

2018年05月07日 今井雄一朗

横浜に対して“ちょうどいいプレス”になってしまった、そのワケは?

前節、連敗を8で止めた名古屋が2試合連続のドローで勝点1を得た。巻き返しへの機運は高まっているが…。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 自分たちが"主語"のサッカーを志向する名古屋にとっては、実に反省点の多い戦いだった。

 試合内容は常に横浜の状態に左右され、自らのアクションから流れを変えたと言える割合は圧倒的に少ない。蹂躙された前半45分はもちろんのこと、後半の巻き返しにしても相手のペースダウンは無視できない要因だった。これでは守備で良く戦い、せめぎ合った前節の評価も少し変わってきてしまう。

 「ボールを回せたのはC大阪があまりボールを取りに来なかったこともあったと思う」
 和泉竜司や青木亮太はC大阪戦の試合翌日に、こう言っていたのである。そして彼らは横浜の勢いが落ちてくるまで攻守両面でやり込められた。"相手陣のハーフコートで試合をする"という名古屋の基本コンセプトを体現したのはむしろ横浜の方で、それが16位のチームであったこともまた、今後の雲行きを怪しくするものでもある。

 それにしても前半の名古屋の出来は、問題視すべきだ。素晴らしく統制の取れた相手のポゼッションと守備の前に手も足も出ず、攻め手を封じられてはボールを支配され、赤いユニホームはまさに右往左往した。前からボールを奪いに行く狙いを出しても、プレスが機能せず空転、中盤で次々とフリーの選手を作られた。
 
 2戦連続のスタメンとなった新井一耀は「"ちょうどいいプレス"になってしまっていて、むしろパスが回しやすくなっていたと思う」と、ディフェンスの不備を嘆く。「自分が一番見えていたのに、発信できなくて悔しい」とも。2トップのブラジル人は守備にも気を遣ってはいたものの、彼らに対して「こう動け」という正確な指示が出せなかったがゆえの後悔だが、それは最終ライン中央の相棒であるホーシャとの関係性にも同様だったという。守備戦術としての型を持たないチームだけに、試合中のコミュニケーション精度は死活問題にもなってくるのだが、言葉の壁は厚かった。

 簡単な調整ならば感覚やジェスチャーでもできたかもしれないが、この日の相手は高度な戦術を駆使する相手だったことも災いした。より具体的な対策をその場で練る必要があったなかで何もできず、「ファーストプレスに行けなかったことで中途半端にみんなが動いた間を全部取られていたし、そこから展開されて難しいセンタリングが上がってきた」と、新井の苦悩は募った。喜田拓也の先制点は、そうした流れが呼んだ必然の失点でもあった。
 

次ページ2戦連続の引き分けに底を打ったとばかりにポジティブな意見も多い

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事