【岩政大樹】日本人に「合わない」ハリルのやり方で世界に勝てたのか?その結末が見れないのは残念

2018年04月09日 岩政大樹

ハリルホジッチ監督なりの勝算はあったはずだが…

土壇場でのハリルホジッチ監督解任によって、ロシア・ワールドカップは評価しにくい大会になってしまった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 驚きの人事でした。驚いたのは解任されたことよりも、そのタイミングです。解任するのであれば、もっとより良きタイミングがあったと思います。個人的には、ここまできたのであれば、ハリルホジッチ監督の率いるチームのワールドカップを見てみたかったです。
 
 ハリルホジッチ監督の「人」から見る守備の徹底ぶりや選手にプレッシャーをかけるチーム作りは、私の考える日本人に合ったやり方ではありませんでした。だからこそ、ハリルホジッチ監督のやり方がワールドカップでどういう姿を見せるか、非常に興味がありました。ワールドカップで結果を残してきたハリルホジッチ監督には監督なりの勝算があるのだと思っていたので、それを見ることができず、結局ハリルホジッチ監督が何をしたかったのかは分からずじまいとなってしまいました。
 
 そういう意味では、ロシア・ワールドカップがどのような結果になるにせよ、非常に評価しづらい状況となりました。何が良くて何が悪かったのか。ワールドカップ後に次につながるものは、決して多くはなりません。
 
 そのなかで、西野朗技術委員長を新監督に据えることは、限りある選択の中では最も妥当な選択に思えました。Jリーグで優勝を経験し、オリンピックで奇跡を起こした監督でもあります。技術委員長が代表監督になるというドタバタ劇はまた別のところで議論すべき問題を孕んでいると思いますが、田嶋幸三会長がおっしゃる「このタイミングだから西野監督」はよく理解できます。
 
 とはいえ、ワールドカップメンバーの選考まで試合はもう残されていません。経験豊富な西野監督とて、舵取りは非常に難しいと言わざるを得ません。
 
 ハリルホジッチ監督のサッカーと西野監督のサッカーは大きく違います。西野監督も奇跡を起こしたアトランタ・オリンピックの時は随分守備的な戦いを選択して世界に挑まれましたが、それでも両者の根本的なサッカーの見方が似ているとは到底思えません。そのような状況の中で、西野監督はどのようなチームを作るのでしょうか。
 
 チームのことを考えれば、西野監督の信じるやり方に完全にシフトすべきだと思います。良い部分は当然残すべきですが、前監督のやり方を必要以上に残そうとするのは危険です。選手に迷いが生じるからです。
 

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