「一般企業ならパワハラ」限界説が囁かれるモウリーニョのマネジメントは時代遅れなのか?

2018年03月31日 松澤浩三

時代遅れと揶揄されるモウリーニョのマンマネジメント。

低調なマンUの主因として槍玉に挙げられているモウリーニョの守備偏重の采配は、時代遅れなのか? 現地での声をまとめた。 (C) Getty Images

 ここ最近、イングランド国内では様々なメディアから、マンチェスター・ユナイテッドのポルトガル人指揮官ジョゼ・モウリーニョについて「限界説」が噴出している。
 
 その大半で問題提起されているのは、至極守備的で、魅力を感じられない戦術だ。
 
 前線にはポール・ポグバ、アレクシス・サンチェス、ロメル・ルカク、アントニー・マルシアル、ファン・マヌエル・マタ、マーカス・ラシュフォード、ジェシー・リンガードなど、攻撃的な選手が揃うが、彼らを有効活用できない守備重視のスタイルが槍玉に挙げられている。
 
 3月13日に行なわれたチャンピオンズ・リーグ(CL)決勝トーナメント1回戦の第2レグでは、セビージャに1-2で完敗。絶対的有利と見られていたホームでの試合だったにも関わらず、攻撃的に振る舞う時間はほぼ皆無で、良いところなく敗退を喫した。
 
 試合後は、指揮官のディフェンシブな姿勢がチームを敗退に追い込んだというのが、多くのファンや識者の共通意見となっていた。


 
 また、モウリーニョのピッチ外での言動を疑問視する人も少なくない。
 
 CLでの敗退から3日後、FAカップ準々決勝のブライトン戦を控えた金曜日の記者会見で、「セビージャ戦でのパフォーマンスに満足していないファンがいるが、どう受け止めているか」という質問に対し、「今のユナイテッドには、フットボールの遺産がない」「2012年以降、マンチェスターUは欧州カップ戦で良い成績を収めていない」といった自己防衛のような演説を12分間にわたり展開した。
 
 2-0で完勝したこのブライトン戦の後にも、テレビのインタビューでチームを批判。特に、前半のみで交代したルーク・ショーに対しては、「彼のパフォーマンスに全く満足していない」と、名指しで批判を展開した。
 
『BBC Radio』の討論番組で、同局のサイモン・ストーン記者は「もちろん、サッカーの世界は特殊だが、他の業界であれば完全な"いじめ"と見なされ、普通の会社であれば、パワハラで懲戒処分になってもおかしくない」と話し、執拗にショーを責めるモウリーニョの姿勢に疑問を呈した。
 
 ピッチ上では、攻撃サッカー隆盛の現プレミアリーグで、守備に比重を置きすぎるサッカーを繰り返し、ひとたびピッチを離れると、ネガティブな言動ばかりが先行するモウリーニョ。これらが相まって、そのマンマネジメントの手法は、メディアやファンから「時代遅れ」と揶揄されているのである。
 

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