【独占激白|前編】ポドルスキが語る日本サッカー「環境が整っているわりには国民から…」

2018年03月30日 高村美砂

夢の実現のために、何か特別なルートを歩んできたわけではない

昨夏の電撃入団からおよそ半年が経ったいま、ポドルスキは何を語るのか。日本サッカーに抱くその想いとは──。(C)Getty Images

 昨年7月の来日から約半年が経ったいま、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキは新たな挑戦の場として選んだ"ニッポン"での「冒険」で、何を感じ取っているのか。世界的な名声を得たストライカーが、その旅路で抱いた想いを語ってくれた。 
 
――1月17日の初練習は、阪神淡路大震災における犠牲者への「黙祷」から始まりました。どんなことを感じましたか?
 
「この街にとって、特別な日だという認識はもちろんありました。阪神淡路大震災が起きた当時の映像から多くを学びましたし、(初練習)当日は東遊園地で行なわれた追悼の集いも目にしましたよ。また、神戸の街に建てられている追悼モニュメントなどを通して、あの日、神戸市をはじめとする周辺地域が僕の想像を超えて大変な状況に陥っていたと悟りました。その1月17日を今回初めて日本で過ごしましたが、僕にとっても多くを学ぶ、特別な1日になりました。
 
 同時にこの日を通じて、改めて神戸市民の強さも実感できました。というのも、僕がいま目にしている神戸の街はとても美しい街だからです。これは神戸市民の皆さんが、再び自分たちの街を取り戻そうと立ち上がり、力を尽くしてきた証でしょう」
――このオフには母国でもチャリティマッチなどの慈善活動に精力的に参加されていました。そこに込められた想いを聞かせてください。
 
「チャリティマッチは5年ほど前から続けていて、集まった資金は財団を通してドイツや出身地であるポーランドの子どもたちに届けています。僕が参加する慈善活動はすべて助け合いの精神に基づくもので、特に子どもたちを援助したいという思いは常に僕の心にあります。
 
 というのも僕自身もケルンのアカデミー時代は、憧れの選手にサインや写真撮影をお願いし、温かく接してもらえたことがとても嬉しかったからです。その時に感じた思いを、今度は僕が行動することで子どもたちや僕を応援してくれる人たちに感じてもらえれば嬉しいし、少しでも子どもたちの心に何かを残したいと思っています」
 
――かつてはサッカー少年だったご自身も今や世界的な名プレーヤーになりました。そのキャリアは子どもの頃から夢見ていたものでしたか?
 
「サッカーをしている多くの子どもたちと同じように、当時の僕もプロサッカー選手になりたい、トップリーグでプレーしたい、代表選手になってワールドカップを戦いたいという夢を描いていました。
 
 ただ、その夢の実現のために何か特別なルートを歩んできたわけではありません。トレーニングでハードワークすることだけを心がけ、脇目もふらずにそれを毎週、毎月、毎年と積み重ねてきたことが今のキャリアに繋がったし、その戦いは今も続いています」

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