【ウクライナ戦|戦評】なぜ打たないんだ! 先発した3トップの総シュート数は驚愕の…

2018年03月28日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

昨年11月のベルギー戦で手応えを掴んだ守備も…

シュート0本に終わった本田。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本1-2ウクライナ/3月27日/スタッド・モーリス・デュフラン
 
 完全な力負けだった。前半に良い流れが来そうな時間帯もあったが、21分にオウンゴールで先制点を献上すると、槙野智章のゴールで追いつくのが精いっぱい。後半は中盤でボールを支配される時間帯が増え、69分にはイェヴヘン・コノプリャンカに日本の右サイドをぶっちぎられ、精度の高いクロスから最後はオレクサンドル・カラファエフに豪快に決められた。
 
 85分過ぎから日本が攻勢を仕掛けたものの、粘り強いウクライナの守備を崩せず敗戦を喫した。そもそも個の部分では明らかにウクライナが上で、とりわけ中盤の攻防が試合の行方を大きく左右したように映った。
 
 ボランチコンビの長谷部誠と山口蛍は、対峙したウクライナの両インサイドハーフ(マルロス・ロメロ・ボンフィム、オレクサンドル・ジンチェンコ)にパワー、スピード、テクニックの全ての面で劣り、つまらないミスが目に付いた。
 
 ウクライナの両インサイドハーフを抑えられなかったことでマークにズレが生じ、槙野智章と植田直通の両CBがつり出されるシーンも少なくなかった。しかも、1対1の局面に持ち込んでも、ウクライナの選手は強く、しぶとく、なかなかボールを離さなかったため、日本は奪い返すだけでもだいぶ苦労していた。
 
 個の勝負で苦戦を強いられたのは長友佑都のコメントからも分かる。
 
「1対1の勝負で勝てないで、そこで剥がされると次がずれて、全てがずれていって。今はマンマーク気味でついてハメていくという組織でやっているなかで、ひとりが剥がされると、どんどんずれていってしまう。自分も含めて1対1の部分ではしっかり勝っていかない。正直、ワールドカップはこれ以上のレベルの選手たちと対戦するので(現状のままでは)厳しいですね」
 
 昨年11月のベルギー戦である程度手応えを掴んだ守備が、このウクライナ戦で崩壊したと言っていい。なかでも酷かったのは右サイドバックの酒井高徳だろう。前半から何度も裏を突かれ、16分にはよもやオウンゴールという場面もあった。
 
 前回のマリ戦で同じポジションの宇賀神友弥が期待を裏切ったことも踏まえれば、"受難の右サイドバック"と言わざるを得ない。不動のレギュラーである酒井宏樹(今回は怪我で招集辞退)がイエローカードをもらいがちな点も考えると、右サイドバック問題は深刻かもしれない。
 
 CBの吉田麻也が不在だったこともあるが、それも正直、エクスキューズにならないだろう。吉田がいない状態でワールドカップを戦うシチュエーションもあるわけで、この時点でそれなりの守備組織を固めておかないと本大会を勝ち抜くのは厳しいからだ。
 

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