【日本代表】拠りどころがない残酷な現実。本田が示唆する日本サッカーの“深刻な脆さ”

2018年03月26日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「発言するところがだいたい右肩下がりなんですよ」(本田)

日本サッカーは立ち返れるべき場所がないのがひとつの脆さと本田はいう。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト編集部)

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が15年3月に就任以降、この指揮官は縦に速く、デュエルにこだわるサッカーを求めてきた。ただ、正直、視覚的に面白いかと言われればそうではない。会心のゲームと断言できるのは、最終予選のサウジアラビア戦(ホーム)、UAE戦(アウェー)、オーストラリア戦(ホーム)くらいで、ワクワク、ドキドキするようなゲーム内容はどちらかと言えば少ない。
 
 そんなサッカーのうえに、昨年10月のハイチ戦から先のマリ戦までの戦績(E-1選手権も含む)は、2勝2分3敗と負け越している。しかも、その2勝はE-1選手権での北朝鮮戦と中国戦。昨年10月のニュージーランド戦も含めれば3勝2分3敗となるが、「だからなに?」という数字である。
 
 当然ながら選手たちのテンションも高くない。今回のベルギー遠征で選手の声を聞いても、向こうから発せられる言葉は迷い、もしくはネガティブなものが多いような気がする。
 
「マリ戦ではもっと試合中に選手に話しかけるべきだったかもしれない」(長友)
 
「攻撃で良い形を作れていない」(森岡)
 
「現実を見て、このままだと本当に厳しいなと思った」(三竿)
 と、こんな具合だが、どんな苦境にいようとも本来ならポジティブに構える必要がある。だが、残念ながらチームのムードは暗い。こうした状況に危機感を募らせているのが本田だ。
 
「まず発する、行動する。反省して修正して、また発言する、行動するというサイクルを(ワールドカップ本大会までの)2か月半、右肩上がりにしていかないといけない。でも、発言するところがだいたい右肩下がりなんですよ」
 
 ある意味、仕方ないとも思う。内容が良くないうえに結果も出てないのだから、例えば「監督のサッカーで勝てるのか」と迷うのは当然だ。正直、今、ハリルジャパンは拠りどころがない状態で戦っている。本田は言う。
 
「困った時に集団って、原点回帰できるものがあったりするんですけど、普通は。それが今、日本のサッカーにはない。それが脆さであるのは事実ですよね。普通は簡単に立ち返れる場所がある、楽な道があるんですけど、その楽な道が(日本サッカーには)今ないんですよ。
 
 でも、僕はこういう場面に出くわしているのは光栄なことだと思う。この難しい状況をどう打開するかはひとりの選手として日本人として考えていますよ。考えていますし、これからもトライしようと思っている部分はいくつかある」
 

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