マリ代表は「仮想セネガル」となり得るのか? ハリルジャパンに求められる対策は?

2018年03月23日 河治良幸

主力の多くを欠くが、将来有望な若手を多数招集!

金曜日に日本と対戦するマリ代表。主力に怪我人が相次いだことで、30代の選手がひとりもいないフレッシュな構成となった。(C)Getty Images

 現地時間3月23日に日本代表が対戦するマリ代表は、過去にコートジボワールやアルジェリアを指揮し、アフリカ・サッカーに精通するヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「仮想セネガル」と位置付けているだけあって、共通するポイントが多い。
 
 1960年に同じマリ共和国として独立した両国だったが、すぐに分離。マリのモハメド・マガスバ監督が「ブラザー・カントリー」と表現するように、個々の身体能力やプレースタイルなどが似通っている部分が多く、セネガルを想定するには十分の相手と言える。
 
 また、現在マリはフランス語圏のフランスやベルギーのリーグを始め、欧州でプレーする選手が多く、そこで成功した選手たちが主にプレミアリーグに引き抜かれるという流れもセネガルと似ている。
 
 
 両国ともアンダーカテゴリーで躍進を見せているが、A代表の成績はセネガルに一日の長がある。
 
 ロシア・ワールドカップのアフリカ予選で、マリはモロッコ、コートジボワール、ガボンと同組になるタフなグループで最下位に終わっており、予選途中に解任されたアラン・ジレスからチームを引き継いだマガスバ監督も、2019年のアフリカネーションズカップに向けて若手中心のチーム改革に着手しているようだ。
 
 そのマガスバ監督が組むベストメンバーを鑑みると、今回のメンバーはやや見劣りする。というのも、今シーズンのポルトガル・リーグで20得点を挙げているエースのモウサ・マレガ(ポルト)を含む8人が怪我で離脱している状況だからだ。そのことは、ハリルホジッチ監督も「何人か主力選手が来ていないと聞いた」と把握はしている。
 
 それでも、アフリカ予選を戦ったメンバーに2015年のU-17W杯で準優勝を経験した若手たちが加わり、一筋縄ではいかない相手だ。
 
 ジレス前監督は、4−4−2をベースにしていたが、マガスバ監督は4−1−4−1をメインに採用しており、その点でもセネガルと酷似する点が多い。
 
 主力選手の欠場も含め、個々のタレントを見ると、身体能力の高い選手が揃うが、前線もセネガルよりはパワーで見劣りする。ただ、前線のアダマ・ニアヌはキープ力があり、左ウイングのアダマ・トラオレⅡ(※モナコに所属する同姓同名のアダマ・トラオレⅠは不参加)と右ウイングのムサ・ドゥンビアは推進力があり、時間帯に応じて、左右が入れ替わることも可能だ。
 
 ただ、両サイドともリバプールで活躍するセネガル代表のサディオ・マネ級の選手ではなく、日本は酒井宏樹を欠く状況ながら、彼らにサイドを突き崩されるようでは、大きな不安要素を残すことになるだろう。
 

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