ついに日本代表初招集! 中島翔哉はいま何を考え、どこへ向かおうとしているのか

2018年03月15日 豊福晋

やっぱり、迷っていると決まらない。迷わないことがすごく大事。

異国の地ポルトガルで出色のパフォーマンスを続ける中島。ついに日本代表にも初招集され、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。写真:龍フェルケル

 昨夏にFC東京から期限付き移籍でポルティモネンセに加入した中島翔哉が、異国の地ポルトガルで躍動。リーグ戦でゴールを重ね、今や欧州の強豪クラブにも注目される存在になった。ついに日本代表に初招集された23歳を現地で直撃。確かな充実感は、その笑顔からも見て取れた。
 
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 右サイドから、ペナルティエリアの左にボールが届いた。それに反応した小さな選手がふわりとジャンプし、軽やかに胸でトラップする。姿勢は崩れない。彼の視線はすでにゴールを捉えている。緩やかに落ちてくるボールを右足で捉えると、GKのはるか上で曲線を描いたシュートはそのまま軌道に乗り、ファーサイドのネットに吸い込まれた。
 
 中島翔哉がポルティモネンセで決めた今季リーグ戦での9点目のシーンだ。南蛮菓子のような甘美なこのゴールをポルトガル人は絶賛し、今季のベストゴール候補に間違いなく入るだろうと言われている。

 
 この得点の数日前、中島はポルティマオの海沿いでゴールについて語っていた。リーグ戦での9得点はすでにキャリア最高だ。中島のイメージと言えば、チャンスメーカー、あるいはドリブラーだったが、今季のパフォーマンスを見るとスコアラーとしての能力が開花した感が強い。いったいなぜ、これほどに得点が取れるようになったのだろう。
 
「自信は、ついたと思います」
 
 春めく太陽を浴びながら、中島は微笑んだ。
 
「ある局面でシュートかパスを選択するシーンがあったとします。もちろん、味方のポジションや状況次第ですが、今は、たぶんシュートを打ちます。ゴールは好きだし、自信があるので。やっぱり、迷っていると決まらない。迷わないことがすごく大事だなと」
 
 さざなみが聴こえる午後の通りを、チームメイトのファブリシオが夫人と歩いてきた。
 
 かつて鹿島アントラーズでプレーした彼は、片言の日本語も話す。中島は彼に近寄り、何かを話すと、「じゃあまた後でね」と言って手を振る。そのやりとりひとつ見ても、充実した海外生活を送っていることが伝わってくる。
 
 おそらくは今、欧州で最もサッカーを謳歌している日本人選手のひとりだ。フル代表入りも期待され、日本サッカー協会関係者も現地まで視察に訪れた。冬にはポルト、スポルティングらビッグクラブ移籍の噂も流れた。渦中のアタッカーは、ポルトガルの片隅で、何を考えてボールを蹴っているのか──。

次ページ上手くいっているのはチームメイトの支えがあったから。

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