【セルジオ越後】王者フロンターレの不調は想定内。新シーズンも横綱相撲をできるチームはいない

2018年02月23日 サッカーダイジェスト編集部

フロンターレは不甲斐ないスタートに。

ACLとゼロックス・スーパーカップで3連敗を喫した川崎。昨季の王者は調子を取り戻せるのか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ACLはすでにグループステージの2節までを消化したが、昨年のリーグ王者であるフロンターレはまさかの連敗スタートとなった。ゼロックス・スーパーカップ(C大阪に2-3で敗戦)を含めれば公式3連敗と不甲斐ない船出だ。
 
 チャンピオンとして臨む初めてのシーズンなだけにプレッシャーがあるだろうし、例年よりも早い(ゼロックス・スーパーカップは2月10日に開催)始動を強いられたことで、コンディション作りも万全ではないのだろう。現に中村らキーマンは精彩を欠いている。
 
 FC東京から復帰した大久保もフィットできていないね。ゼロックス・スーパーカップではゴールを奪ったが消えている時間が長い。FC東京時代の不調をいまだに引きずっている印象だ。彼をチームにどう組み込むのか。鬼木監督は大いに頭を悩ませているんじゃないかな。昨年のようなパスワークは見られないし、攻撃面は早急に改善する必要があるよ。
 
 それにキャンプから気になっていたけど失点も多い。元々、攻撃面に特長のあるチームだからある程度の被弾は覚悟しているのかもしれないが、3試合で5失点は問題だ。攻守の歯車が噛み合っておらず、王者らしからぬ不安なシーズンインとなっている。
 
 もっとも振り返れば、昨年もシーズンを通じて安定した力を発揮できたわけではなかった。最終節で首位のアントラーズが引き分けてくれたからこそ、逆転で悲願のリーグタイトルを獲得できたが、波があった。優勝したからといって、すぐに常勝クラブの仲間入りができるわけではないし、この苦戦は想定できたことでもある。一度エンジンがかかれば、昨年のような爆発力のある攻撃を見せられそうだが、このままズルズルいってしまう可能性だってあるよ。
 
 一方、調子が良いのがセレッソだ。ユン・ジョンファン監督の下でまとまった戦いができているし、新戦力の高木やヤン・ドンヒョンのパフォーマンスも悪くない。中軸である山口、杉本も軽快な動きを見せている。だが、運動量が求められるサッカーなだけに、この勢いがどこまで続くのかは疑問だ。ACLを含めてハードスケジュールを強いられるし、息切れする時期は来るんじゃないかな。
 
 昨年、フロンターレに逆転優勝を許したアントラーズはACLで1勝1分と、まずまずのスタートを切った。ただし、内田らを加えた最終ラインは安定しているが、前線のパワー不足は否めない。金崎、鈴木らが昨年以上の成績を残せば悲願の20冠目に手が届くかもしれないが、こちらも簡単な道のりではないだろう。
 

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