【現地発】ミランの「笑えない矛盾」。快進撃の裏で…

2018年02月20日 片野道郎

混迷に終止符を打ち、監督交代は成功だった。

快進撃でEL出場圏内に順位を上げてきたミラン。ガットゥーゾへの監督交代の成果が出ている。写真:Getty Images

「ガットゥーゾのミラン」が勢いに乗っている。
 
 昨年12月27日、コッパ・イタリア準々決勝のミラノ・ダービーでインテルを延長戦の末に1-0で下して以降、先週末のセリエA25節サンプドリア戦まで、ヨーロッパリーグ(EL)を含む3つのコンペティションで10試合負けなし(7勝3分け)。セリエAでは直近6試合で5勝1分けという好調ぶりで、EL出場圏内の6位タイまで順位を上げてきた。
 
 ヴィンチェンツォ・モンテッラ(現セビージャ監督)の解任を受けて、プリマベーラ(U-19)から昇格したジェンナーロ・ガットゥーゾ監督がチームを引き継いだ11月末の時点では、順位は同じ7位ながらひとつ上のサンプドリアとは7ポイント差と、開幕時の目標だったチャンピオンズ・リーグ出場権(4位以内)はおろかEL出場権確保(6位以内)すらも遠いように見えた。
 
 そこからウインターブレイクを間に挟んだ2か月あまりで、EL圏内からさらに上を見据える位置まで勝点を積み上げただけでなく、メンバーと戦術の両面においてチームとしての明確な形を確立し、序盤戦から続いた先の見えない混迷にようやく終止符を打った感がある。それだけでも、監督交代は成功だったと言うことができるだろう。
 
 ガットゥーゾがミランをここまで立て直した鍵はどこにあるのか。ピッチ上で最も目に見える変化は、システムとメンバーの固定化、そして戦術コンセプトの明確化だ。
 
 就任直後はモンテッラが進めていた3バックのプロジェクトを受け継ぐ形で3-4-2-1の導入を模索したガットゥーゾだが、その後はシステムを4-3-3に固定し、少しずつ選手を入れ替えながらチームの基本形となる11人の顔ぶれを模索。2週間のウインターブレイクを通してメンバーを固めた後は、ほぼ一貫して同じ顔ぶれで戦っている。最終的に固まった11人は以下のような顔ぶれだ。
 
GK:ジャンルイジ・ドンナルンマ
DF:ダビデ・カラブリア、レオナルド・ボヌッチ、アレッシオ・ロマニョーリ、リカルド・ロドリゲス
MF:フランク・ケシエ、ルーカス・ビグリア、ジャコモ・ボナベントゥーラ
FW:スソ、パトリック・クトローネ、ハカン・チャルハノール
 

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