【選手権】矢板中央が埼玉会場で過去8戦無敗!“人見知り”2年生MFがジンクス継続弾

2018年01月05日 平野貴也

「埼玉無敗」の快進撃が続けば栄冠も、高橋監督は「明日で終わり」とうそぶく。

矢板中央は山下が挙げた虎の子の1点を守り切り、8年ぶりのベスト4進出を決めた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[高校サッカー選手権準々決勝]矢板中央 1-0 日本文理/1月5日/浦和駒場
 
 値千金の先制ゴールを決めた殊勲者を、取材陣が囲む。しかし、恥ずかしそうに話す声がちょっと小さい。記者が間合いを詰めて行く。少し戸惑いながら話した背番号14は「小さい頃から喋るのが苦手で、自分、人見知りなので……」と照れ笑いを浮かべた。屈強な選手が目立つチームの中で、少し引っ込み思案の2年生が、大仕事をやってのけた。
【選手権PHOTO】準々決勝 日本文理 0-1 矢板中央
 
 第96回全国高校サッカー選手権大会は5日に準々決勝を行ない、浦和駒場スタジアムの第1試合では矢板中央(栃木)が1-0で日本文理(新潟)を破って2009年度以来となる4強入りを決めた。矢板中央は、2年ぶり8度目の出場。高橋健二監督は「埼玉県の会場は縁起が良い。8回目の出場で、ほかの都県の会場でも試合をしましたが、埼玉県だけは5戦全勝で負けなし。今大会は3連勝で、8戦全勝。大会前のプリンスリーグ関東参入戦も埼玉県で2連勝できたので、すごく験(ゲン)が良い」とニンマリ。準決勝、決勝の会場は、埼玉スタジアム。このまま「埼玉無敗」の快進撃が続けば、栄冠にたどり着く。指揮官は、埼玉会場が最後まで続くことに触れられると「ああ、そうだ! じゃあ、明日で終わりです」とうそぶいたが、勢いがある。
 
 矢板中央は、前線で屈強なFWが起点を作り、サイドから押し込んでクロスボールで得点を狙う。昔ながらのシンプルなスタイルだ。セットプレーの強さで得点を重ねて勝ち上がっており、FWを中心に対人戦の強さが目立つ。準々決勝もFWが多くの決定機を迎えたが、決めたのは右サイドMFで先発した小柄な2年生、山下純平だった。
 
 前半36分、主将の稲見哲行(3年)のフィードをFW久永寿稀也(3年)が競ると、山下が頭でつなぎ、投入されたばかりの2年生FWの山下育海がシュート。日本文理の長身GK相澤ピーター・コアミ(2年)に弾かれたが、山下が押し込んだ。
 
 山下は、スピードを生かした突破が武器だが、後半2分に相手の決定的なカウンター攻撃を猛追して防ぐなど、守備でも勝利に貢献した。ストッパーの白井陽貴(2年)が3回戦の負傷で欠場したため、ここまで2得点の稲見が最終ラインに下がるなか、中盤の名脇役が大役を果たした格好だ。
 

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