【選手権】元JリーガーGKコーチの薫陶を受ける仙台育英1年生守護神が裏方の3年生に感謝

2018年01月02日 小林健志

「踏ん張ってほしいと思いながら使い続けている」

仙台育英の1年生GKの佐藤文。3年生に支えられ、シーズンを通じてゴールマウスに立ってきた。写真:早草紀子

[高校サッカー選手権2回戦]米子北 1-0 仙台育英/1月2日/三ツ沢
 
 前半早々に失点を喫しながら、その後何度も攻め込みチャンスを作った仙台育英だが、惜しくも0-1で米子北に敗れた。最後まで粘りを見せられたのは、最少失点で抑え、自らのロングキックから決定機も作った1年生守護神のGK佐藤文太の奮闘があってこそだった。

 
「こんなにキックが良かったのは初めて」と、課題だったキックでも良いプレーを出せていたことに城福敬監督は驚きながらも、この1年の成長を喜んでいた。
 
 佐藤文はアルビレックス新潟U-15出身。仙台育英に入学直後からプリンスリーグ東北で先発出場を続けるなど、早くから城福敬監督は彼の才能を買っていた。
「彼の将来性を買って起用し続けました。今は身長182センチですが、まだ身長が伸び続けているようなので、身体のバランスが崩れることもありますし、ミスもありますが、今いるGKの中では身長と技術のバランスが取れていますし、踏ん張ってほしいと思いながら使い続けています」
 
 冷静な判断力と的確なシュートストップ、まだ身長が伸び続けていて体格的にも期待できるということで、将来への期待を込めて城福監督は継続的に起用し、プレーの安定度はこの1年で大きく向上してきた。
 
 また、佐藤文の成長に大きな影響を与えているのは、2017年より仙台育英GKコーチに就任した笹原義巳氏の存在だ。笹原GKコーチは本田技研、川崎でプレーし、地球環境高、鳥栖、愛媛、山形でGKコーチを務めた後、仙台育英へやってきた。そして同時に加入した佐藤文を厳しく育ててきた。
 
 城福監督がこの日評価したキック精度についても「いつもが悪すぎるんですよ」と手厳しい。「サッカーに対する考えがまだまだ甘くて、もっとサッカーを勉強しなければなりません。次の2手、3手先を読めるGKになってほしいですが、まだその場の現象でしか考えていません」と彼を手放しで誉めることはまずない。プロの厳しさを知るGKコーチに妥協を許さず鍛えられているのだ。
 

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