【選手権】徳島入団内定の本格派FWが狙うは“大迫超え”!「東福岡戦では3点以上取りたい」

2018年01月01日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

中西哲生氏のアドバイスでフォームを微修正

ついに選手権第1号を決めた坪井。富山一のエースは激戦ブロックを勝ち抜き、大記録の更新を目ざす。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[高校サッカー選手権・1回戦]富山一 1-0 東海大星翔/12月31日/等々力
 
 追いすがる東海大星翔をなんとか振り切った。終了間際にCKから大ピンチを迎えるも、DF小森颯(3年)がゴールライン上でスーパークリア! 富山の破壊王が1-0で初戦をモノにした。
 
 その決勝点を挙げたのが、絶対エースのFW坪井清志郎(3年)だ。前半26分に味方選手のシュートのこぼれ球を拾い、冷静にゴールに流し込んだ。県予選で17ゴールを、プリンスリーグ北信越では24ゴールという驚異的な数値を叩き出して得点王に輝いた。まさに本格派ストライカーで、左右両足から放つショットは確度が高く、局面打開力と周囲を活かす術にも長ける。卒業後の徳島ヴォルティス入団が内定している注目株だ。
 
 しかし、坪井自身はフラストレーションを抱えていた。夏のインターハイ本大会、プレミアリーグ参入戦と重要なビッグイベントはともに無得点。意識せずともストレスとプレッシャーを感じ、大会を目前に控え、どこか力が入りすぎていたという。
 
 大塚一朗監督は「今日はチームとして、坪井が点を取れたのも良かったと思います。参入戦は2トップが取れなかったので、これで波に乗ってくれるんじゃないでしょうか」と期待を寄せ、ひとつの事実を明かしてくれた。「中西さんに指導してもらって、(坪井は)リラックスできたんだと思います」。かつて川崎フロンターレや名古屋グランパスで活躍した中西哲生氏の存在だ。
 
 昨年の夏から全国大会があるたびに、富山一の選手たちの個別指導を請け負ってきたのが"臨時コーチ"の中西氏だった。大塚監督とは共通の知人を通して知り合い、「一度富山まで来てくださいよ」と嘆願したところ、快く受諾してくれた。選手たちのプレー面、メンタル面の悩みを聞いて回っては、的確にアドバイスして立ちどころに修正。あの分かりやすい独特の語り口調で、選手たちのハートをがっちり掴んだのだ。
 
 坪井も中西氏に再会するのを楽しみにしていたという。12月28日、鹿嶋で行なわれた富山一の直前合宿を訪問。チームトレーニングで坪井を観察した中西氏は、「少しフォームが崩れているな」と感じた。
 
「力みがあったんで、そこをまず解消しました。具体的に言えば首の位置をいいポジションに修正して。変な力みがすぐになくなったのを本人も理解してて、すぐに良くなりましたね。坪井くんのことは去年から見ていますが、本当にクレバーな選手で、呑み込みが早いんですよ。だからすぐに修正点を体現できる。今日(東海大星翔戦)もシュートを撃つ時に軸足を踏ん張らず、ちゃんと蹴り足から着地していた。ここんとこ点を取れてなかったから、ついにゴールを決めて、自分自身とチームの呪縛(等々力陸上競技場で3戦3敗だった)を解放できたんじゃないですかね」

 元日のチーム練習にも顔を出し、細かな修正を試みる。

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