【高円宮杯】「お前がいてくれて良かった」MVP・小林幹を支えたのは好敵手の存在

2017年12月18日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

品田愛斗と切磋琢磨したからこそ小林幹の今がある。

高校生活最後のゲームとなったチャンピオンシップで小林幹は抜群の存在感を放った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 高体連とクラブユースが真の日本一を争う、U-18高円宮杯プレミアリーグ。12月17日に東西の覇者が年間王者を決めるチャンピオンシップに挑み、FC東京U-18がヴィッセル神戸U-18を3-2で破って初の優勝を成し遂げた。
 
 その中で印象的な活躍を見せたのが、大会MVPを受賞した10番の小林幹(3年)だ。ボランチの位置から良質なパスで攻撃を組み立て、隙あらば前線に顔を出して好機を演出。守備でもハードワークを厭わない献身的なプレーでチームを支え、優勝に大きく貢献した。
 
 チームの優勝に自身のMVP。「この賞は優勝しないともらえない。優勝できたのは色んな人のおかげなので、そういう人に感謝したいと思います」という言葉で喜びを語った小林だが、どことなく寂し気な表情も見せていた。それは神戸戦がFC東京U-18の一員として戦うラストマッチだったからだ。もちろん仲間と戦う最後の試合というのもある。しかし、品田愛斗(3年)とボランチでコンビを組む最後のゲームだったこともその理由のひとつ。幼い頃から切磋琢磨をしてきた間柄だったこともあり、感慨深いものがあったという。
 
 ふたりが初めて出会ったのは今から8年前。小学校4年生の時だ。FC東京のスクールで初めて会ってからというもの、常に互いを意識する存在だった。中学校ではともにFC東京の下部組織に入団。小林幹はU-15むさし、品田はU-15深川で技を磨いた。そして、中学校3年生になると、それぞれのチームで10番を背負うまでに成長。

「彼は下級生の頃から試合に出て活躍しているのを知っていた。僕も試合に出ていたけど、得点を取ったりしていなかったので、やっぱりすごいなと思っていました」と品田が語るように、友として好敵手としてお互いの存在を認め合って彼らは成長を遂げてきた。

 そして、U-18で初めてチームメイトとなったふたりは今まで以上に切磋琢磨するようになる。「あいつには負けたくない」という想いで日々練習に打ち込んだ。しかし、彼らに分岐点が訪れる。高校3年生の春だ。新チームの10番候補にふたりの名前が上がったが、エースナンバーを小林が付けることになった。すると、その期待に応えるように小林は開幕からチームの主軸として活躍し、U-23チームの一員としてJ3の舞台も経験。短所だった守備面も向上し、名実ともに10番に相応しいプレーヤーへと成長を遂げた。

 一方、18番を背負う品田は2年生の時点で2種登録となり、J3デビューも果たしていたが、ハードワークの部分で課題が残されていた。3年生に進級しても絶対的な存在になれず、思うような結果を残せない日々が続いた

【高円宮杯チャンピオンシップPHOTO】FC東京U-18が逆転で神戸U-18を破り初優勝を飾る

次ページ最後にふたりが交わした言葉は「ありがとう」。

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