【現地発】インテルの「豹変」がセリエAに「異変」を起こす!

2017年12月07日 片野道郎

インテル、ナポリ、ユーベの三つ巴に。

昨シーズンとは見違えるチームになったインテル。主将でエースのイカルディ⑨は得点ランクのトップを走る。写真:Alberto LINGRIA

 実に6連覇中とこのところユベントスの一強支配が続いてきたセリエAに、「異変」が起こっている。シーズンもそろそろ折り返し点に差し掛かろうかという15節終了時点で、インテル、ナポリ、ユーベがわずか2ポイント差で首位を争う三つ巴の展開になっているのだ。
 
 欧州5大リーグのうちイタリアを除く4つのリーグでは、マンチェスター・シティ(プレミアリーグ)、バルセロナ(リーガ・エスパニョーラ)、バイエルン(ブンデスリーガ)、パリSG(リーグ・アン)と、チャンピオンズ・リーグ(CL)で優勝を狙うレベルのスーパーメガクラブが、それぞれ一頭地を抜いた強さを発揮して独走体制を固めつつある。対照的にセリエAは、現時点でまだ優勝争いの行方がまったく分からない状況が続いている。
 
 まだ前半戦のこの時期に首位争いが混戦状態になっていること自体は、それほど珍しいことではない。
 
 例えばセリエAでも2年前の15-16シーズンには、ロベルト・マンチーニ監督率いるインテルが1-0の勝利を積み重ねて首位を走り、パウロ・ソウザ監督を迎えて1年目のフィオレンティーナが当時のセリエAではまだ珍しかったポジショナルプレーを大胆に導入したポゼッションサッカーのサプライズ効果でそれを追うという状況があった。
 
 しかしこの時の混戦は、絶対的な優勝候補と見られていたユーベが開幕10試合で3勝しかできず大きく出遅れたことが原因だった。首位インテルの勝点は33(10勝3分け2敗)で、1試合平均の勝点は2.2とそれほどのペースではなかった。
 
 しかし、今シーズンは事情が違う。現在3位のユーベの勝点は37(12勝1分け2敗)で、昨シーズンのこの時点で首位を固めつつあった時の勝点36(12勝0分け3敗)を上回っているにもかかわらず、インテル(勝ち点39/12勝3分け0敗)とナポリ(勝ち点38/12勝2分け1敗)の2チームがさらにその上を行っているのだ。
 
 首位インテルの1試合平均勝点は2.6。2年前のペースだと計算上の最終勝点は83.6となり、過去5シーズンの最低優勝ライン(87)にも届かないが、今シーズンはこのまま最後まで行けば勝点98に達するというハイペースだ。3位ユーベでもこのペースを保てば最終勝点は93。トップ3が極めてハイレベルな争いを展開していることがわかるだろう。
 

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