【現地発】皇帝モストボイらが母国開催のW杯成功に自信を示す。「最高の大会になる予感が」

2017年11月24日 エル・パイス紙

ロシアの印象をポジティブなものに。

現役時代はロシア代表の司令塔として活躍したモストボイ。悲観主義者の彼も母国で開催される本大会に向けて好感触を抱くひとりだ。(C)Getty Images

 ロシアが生んだ最高のテクニシャンであり、そのマエストロ然としたプレースタイルから、現役時代は皇帝を意味する「ツァー」と呼ばれたアレクサンダー・モストボイ。母国でワールドカップが開催される2018年に50歳の誕生日を迎えるレジェンドは、最近ではサッカーボールを蹴るより、スケート靴を履くことが多くなったという。

「ロシアで一番人気のあるスポーツはアイスホッケーだからね」

 そう言って笑顔を見せたモストボイは、同時にワールドカップ開催に向けた機運の高まりが、ロシア国内でたしかな広がりを見せていると、誇らしげに語る。

「素晴らしい大会になるように、政府がしっかりイニシアチブをとっている。今夏のコンフェデレーションズ・カップでロシアを訪れた人たちの反応も上々だったしね」

 ロシアにとって来年のワールドカップは、文字通り国の威信をかけたビッグイベントとなる。円滑な大会運営、巨大なスタジアムの建設、関係者や国民が一丸となったバックアップ体制の構築……。そのためには、クリアしなければならない問題がいくつもある。

 関係者やロシア国民にとって、重要なモチベーションのひとつになっているのが、世界中の人たちがロシアという国に対して抱いている「硬く冷たい」という印象をポジティブなものに転換させること。

 現役時代、スペインのスポルティング・ヒホンなどで活躍し、現在ロシア・ワールドカップ組織委員の役員を務めるドミトリー・チェリシェフ氏(現在ビジャレアルでプレーするデニス・チェリシェフの実父)は、「ロシア人は本来、人懐っこい人が多いんだ。ホスピタリティーの精神も豊富だしね」と前置きしたうえで、ワールドカップの成功へ自信を示す。

「過去のすべてのワールドカップの中でも最高の大会になるという予感がしている。開催を機に国内のサッカー人気が盛り上がりを見せると同時に、観光産業の起爆剤になれば理想的だ。ロシアは決して、ただ寒いだけの国ではない。夏は暑いし、人は親切だし、歴史的な建造物も多い」

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