【現地発】 テストマッチも収穫多々! ドイツ代表、W杯連覇に向けて一切の緩みなし!!

2017年11月16日 中野吉之伴

幾多の組み合わせが試された2試合

指揮官を満足させたヴェルナーのフランス戦のゴール。難航すると思われたミロスラフ・クローゼの後釜探しは、この若き点取り屋の台頭によって解決を見ようとしている。 (C) Getty Images

 ドイツはロシア・ワールドカップ欧州予選で10戦10勝・43得点4失点と、圧倒的な力を見せての突破を果たした。これはスペイン代表が2009年に達成した10戦10勝・28得点5失点を上回る過去最高記録だ。

 本大会出場を決めた後、ヨアヒム・レーブ代表監督は、「ここから本当の仕事が始まる。世界王者として、常に新しい道を探していかなければ。変化がありながらも、オートマティズムがなければならない」と、自分たちの歩むべき道を指し示していた。
 
 その言葉通り、この代表ウィークに行なわれたイングランド戦(11月10日)でも、フランス戦(14日)でも、新しい戦い方の模索と、さらなる新戦力の発掘に余念がなかった。
 
 イングランド戦(0-0)では、これまで負傷で離脱していたイルカイ・ギュンドアン、レロイ・ザネ、アントニオ・リュディガーに加え、初招集されたRBライプツィヒのマルセル・ハルシュテンベルクをスタメン起用している。
 
 ボランチでは、そのギュンドアンを、本来はトップ下のメスト・エジルとコンビを組ませるという、新機軸のひとつがテストされた。
 
 エジルのボランチ起用は、16年11月15日のイタリアとの親善試合でも試されたもので、より柔軟で相手に読まれない組み立てを可能にしている。当然、守備面で不安があるため、これをベースとするのはリスクが高いが、試合展開によっては必要となる場面もあるだろう。
 
 ハルシュテンベルクも、デビュー戦とは思えぬ落ち着きのあるプレーで、攻守に存在感を示していた。
 
 フランス戦(2-2)では、ボランチの位置にトニー・クロースとサミ・ケディラ、その前にユリアン・ドラクスラー、エジル、そしてギュンドアンを並べるという、また別のアイデアを披露。前半こそ、距離感が曖昧になってしまい、攻守ともにフランスに押される場面が多かったが、後半はここを見事に修正している。
 
 レーブ監督は特に、57分の同点ゴール(1-1)を高く評価した。フランスがドイツ・ゴール前に迫ろうとするが、ペナルティーエリア前でケディラがスライディングタックルで前線にクリア。このボールをギュンドアンが相手と競り合いながらエジルに落とすと、そこからドリブルで持ち運んでいく。
 
 後ろからハイスピードで上がってきたティモ・ヴェルナーが相手とのあいだにできたスペースを感知して飛び出すと、これ以上ないタイミングでスルーパスが通る。フリーでボールを受けたヴェルナーは、右足でGKの股下を抜いてゴールを決めた。
 
「ボールを正しいタイミングで動かすというのは、サッカーにおける偉大な芸術だ。今日はそこをうまくやってみせた」と、レーブ監督はこのゴールを喜んだ。

次ページ本番前の無敗記録には何の意味もなし

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