【現地発】鮮やかな復活劇! 南野拓実がザルツブルクや欧州の舞台で噛みしめる大きな喜び

2017年11月09日 中野吉之伴

「この時間は無駄じゃなかったと思えるように」

復帰2戦目の3節コンヤスポル戦では交代出場から2分後にアシストを決めた南野は、4節の同カードでも登場早々に観客を沸かせた。 (C) REUTERS/AFLO

 スコアレスドローに終わった、11月2日のヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第4節、レッドブル・ザルツブルク(オーストリア)対コンヤスポル(トルコ)戦。両チームともにチャンスが少なかったこの試合で、最も観客が沸いたのは、70分のシーンだった。


 途中出場でピッチに立った南野拓実が、その直後のファーストプレーで猛然と相手CBにプレッシャーをかける。ボールを持ち直そうとしてほんの少しボールを離した瞬間を見逃さず、一気に身体をぶつけると、慌てた相手がそのまま南野を押し倒してしまった。
 
 ペナルティーエリア付近で得た貴重な直接FKのチャンス。ゴール裏のファンからは、「南野! 南野!」の大きなコールが起こった。チャンスを作ってくれたから、ということだけではない。この試合に欠けていた、相手を圧倒する勢いを見せてくれたからだ。
 
 今シーズン、南野は公式戦9試合で3ゴール1アシストと好調なスタートを切っていたが、8月20日のザンクト・ペルテン戦で右膝内側側副靭帯を部分断裂。約2か月後の10月14日LASK戦で、ようやく戦列復帰を果たしたばかりだった。
 
 サッカー選手にとって、怪我はどんな時でももちろん痛い。だが、離脱前の南野はチームにマッチし、攻撃の中心としてボールも彼に集まっていた。そのプレーからは、迷いや躊躇いは微塵も感じられなかった。そんな時の離脱だっただけに、より痛かったはずだ。
 
「そうですね、今までで一番大きい怪我だったので。膝をやったから、ちょっとショックはありました。でも、リハビリでも割とすぐに気持ちを切り替えることができました。今の自分の感覚も悪くないです。だから、この時間は無駄じゃなかったなと思えるようにしていけたらと思っています」
 
 焦りがなかったわけではないだろう。だが、それ以上にピッチに戻ってきたいという意欲の方が強かった。それは、自分が思い描くサッカーができるという喜びがあるからではないだろうか。
 
 今シーズンから指揮を執るマルコ・ローゼ監督は、積極的な守備とショートパスを中心にしたコレクティブな攻撃を志向している。

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