【現地発】好調バルサが抱える潜在的なリスクと不安

2017年11月07日 エル・パイス紙

セルジ・ロベルトの負傷は大きな痛手。

序盤戦のバルサは、メッシの異次元のプレーに依存していた部分が少なくない。 (C)Getty Images

 ネイマールの電撃退団と、移籍市場での度重なる失態の影響で、アンバランスな陣容のまま開幕を迎えざるを得なかったバルセロナ。やはり、というべきか、ここにきてさまざまな問題が噴出している。今シーズン最初の正念場――そう言ってもいいだろう。

 たしかにリーガ・エスパニョーラでは、11節を終えて10勝1分けとスタートダッシュに成功した。最大のライバル、レアル・マドリーに8ポイント差をつけ、チャンピオンズ・リーグ(CL)でも、グループステージの4試合を消化して3勝1分けと、決勝トーナメント進出をほぼ確実にしている。

 ただし、この快進撃は、リオネル・メッシを戦術の中心に据えて持ち駒をフル活用するエルネスト・バルベルデ監督の卓越した采配と、その小柄な大エースが披露する異次元のプレー、そして頼れる守護神に成長したマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンの好守に依存している部分が少なくなく、「アンバランスな陣容」という潜在的なリスクと不安は、いまなおチーム内に燻り続けているのだ。

 その事態に追い打ちをかけるように、CL4節のオリンピアコス戦ではセルジ・ロベルトが負傷。右足大腿二頭筋の肉離れで全治5週間と診断された。

 バルサ・スタイルを体現できる選手が年々少なくなっているなかで、S・ロベルトは数少ない"バルサのDNA"を受け継ぐ選手。また、右サイドバック、インサイドハーフ、セントラルMF、右ウイングと複数のポジションをこなす使い勝手の良さもあり、バルベルデ監督の信頼は相当に厚い。ケガをするまでの公式戦のプレータイム、1053分はチームで7番目の数字だった。

 11月のインターナショナルマッチウイーク(6~14日)明けにも、バレンシアやユベントスなど難敵との試合が続くバルサにとっては大きな痛手で、また、来年のワールドカップ出場をめざすS・ロベルト本人にとっても、アピールの場となるはずだったふたつの強化試合(11日のコスタリカ戦と14日のロシア戦)の直前に戦線離脱を余儀なくされたのは不運としか言いようがなかった。

次ページコウチーニョ待望論の再燃は偶然ではない。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事