【日本代表】批判渦巻く10月シリーズは、本当に「得るものがない」2試合だったのか?

2017年10月12日 佐藤俊

「やっている側としては悪くなかったと思います」(昌子)

3失点したことで酷評されているが、個人の出来は悪くなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2017]日本 3-3 ハイチ/10月10日/日産スタジアム

 ハイチに3ー3のドロー。
 
 結果だけ見れば、「何やってんだ」、「得るものがない試合」と言われるかもしれないし、ハリルホジッチ監督も「最低の試合をした」と怒っていた。しかし、この試合本来の目的である「テスト」という観点からみれば、むしろ大事なことがいくつか見えた試合ではないだろうか。
 
 今後につながる収穫が3つほどあった。
 
 まず、槙野と昌子のセンターバックのコンビだが、3失点という結果ほど悪くはなかった。1点目は、昌子と遠藤航のところで潰しきれていなかったからの失点であるし、2点目はフワっと集中力が切れた状態でFKを素早く始められ、対応できずに失点した。
 
 2点を先制し、プレーしている選手は相手の力量が読めたはずだ。そこで若干、気が緩み、集中力を欠いてしまった。それはコンビの問題というよりも個人の問題だ。
 
 3失点目は、ペナルティエリア外からのスーパーゴールで、これはなかなか防ぎようがない。3失点という結果ゆえに印象は悪いが、ふたりのコンビにどうしようもない欠点があるわけではなかったのだ。
 
 もっとも組織的なディフェンスに関しては、遠藤が初のアンカーで倉田秋、小林祐希の両インサイドハーフも初のコンビということで全体的にコンビネーション不足が見られた。初めて組む選手ばかりで中盤からの組織的な守備が難しいのは、やっている選手もある程度、想定内だったはずだ。むしろ個で負けなければいいぐらいの感覚で、昌子と槙野は割り切ってプレーしていた。
 
「3失点したらコンビはよくないって言われると思うけど、やっている側としては悪くなかったと思います」
 
 昌子はそう言ったが、それは強がりでも何でもなく本音だろう。
 
 一緒にやることで槙野のスタイルをより理解できただろうし、ファーストチョイスの吉田に不測の事態が起きてもやっていける手応えをふたりで感じられたのは収穫のひとつ。
 
 また、吉田のパートナーとなる選手のテストという観点から見てもハイチの選手にいいようにやられたシーンはなかった。足の長さや入れ替わりの早さに戸惑うシーンはあったが、それは彼らに限ったことではない。

次ページ倉田と杉本はしっかりゴールに絡んだ。

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