【U-18プレミアリーグ】強豪チームの現在地|東京Vユース編

2014年04月15日 平野貴也

目指すは王座奪還も、本来のパスワークからは程遠く

東京Vユース
所在地:東京都稲城市矢野口4015-1
クラブ創立:1969年(前身:読売サッカークラブ)
主なOB:富澤清太郎(横浜)、菅野孝憲(柏)、森本貴幸(千葉)、高木俊幸(清水)南 秀仁(東京V)など。
(C) SOCCER DIGEST

 今季の東京Vユースは、例年以上にパスワークに重心を置いている。緑の技巧派集団は、常に前線に多くのアタッカーを擁してきた印象が強い。しかし、今季はポゼッションの中から中盤やSBがどれだけフィニッシュに関われるかがポイントになっている。

 攻撃の軸となるMF中野雅臣は「毎年、個人技の目立つチームだけど、今年は個ではなくてチームで崩す形が多い。個人的にも2列目から飛び出す形でゴールに関わるような役目が多い」と話す。

 チームの中核を成すのは、昨年のU-17ワールドカップに出場したこの中野と、MF三竿健斗。個人技もある中野が攻撃、ボール奪取や危機察知能力に定評がある三竿が守備の要となる。中盤で三竿や2年生MFの井上潮音がゲームメイクを担い、運動量豊富なMF安在達弥が右サイドを駆け抜ける。サイドを活かしながらアタッキングサードに入れば、1年時から出場機会を得ているFW室町仁紀だけに限らず、中野ら2列目の選手も飛び出してゴールを狙う。また、昨年の国体で東京都の優勝に大きく貢献した2年生FWの神谷優太や、U-15日本代表の経験がある1年生MFの渡辺皓太ら、下級生にも実力者が揃っており、個々を見ても、チーム全体を見てもポテンシャルは大きい。目標は当然、プレミアリーグEASTの王座奪還だ。
 しかし、パスワーク中心のチームは、歯車がかみ合うかどうかで大きく変わる。三竿は開幕前に「昨年は立ち上がりが良くなくて、最終的に順位(4位)も良くなかった。今年はスタートダッシュを狙いたい」と話していたが、チームはプレミアリーグEAST開幕前の東京都の新人戦(U-17選手権)でFC東京U-18に敗戦。親善試合などでも結果が出ず、大宮ユースとの練習試合では0-5の大敗を喫するなど不安を抱えた。

 そんな中で迎えた開幕戦は、三菱養和に0-2の敗戦。2節の市立船橋戦は、アディショナルタイムの逆転弾で辛くも勝利を収めたが、苦しい内容だった。安在は「いつも試合の入り方が良くない。後半に入ってから、練習のようにパスを回しながら3人目が前に出て行くサッカーができるようになる。前半からやれれば、もっと良いゲームができる。開幕前になかなか勝てなくて、自信をなくしている感じがある」と自省したが、前半は確実性を重んじるがゆえに展開が小さくなり、相手に狙われた印象だった。

 冨樫剛一監督は、市立船橋戦後に「まだ半信半疑でプレーしている。味方に預けて思い切り前線へ抜け出ればいい場面でも、出て行けない。パスワークの部分でも、前半はボールを出すタイミングでしか動こうとしていなかった。もっとボールを持っていない選手が先に動き出してスペースを作れば違ってくる。最後まで諦めずに戦ったことで報われたから、これを機に自分たちを信じて戦えたら、もっと彼らが持っている良さを出せると思う」と改善のイメージを話した。

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