【東京V】なぜヴェルディは再浮上できたのか~中盤の大黒柱に訊く「新システムの効能と効果」

2017年08月21日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「いたってシンプルで普通。でもそこの違いがすごく大きい」。

押しも押されもしないヴェルディ不動の軸、内田。アンカー起用でその重責はさらに強まった。(C)TOKYO VERDY

[J2リーグ29節]東京V2-1長崎/8月20日/味スタ
 
 守備陣のとんでもない連携ミスで失点するなど、お世辞にも盤石の戦いぶりとは言えなかった。だが、チームがふたたび上昇気流に乗り始めたのは間違いない。
 
 J2リーグ・29節のV・ファーレン長崎戦を2-1でモノにした東京ヴェルディ。これで3連勝(8月は4戦負けなし)となり、昇格プレーオフ圏内ぎりぎりの6位を維持している。なぜ彼らは再浮上できたのか。効果をもたらしたのが、ひとつの"変革"だ。
 
 7月は2分け3敗と散々だった。開幕当初の勢いはどこへやら、拠り所としていた組織的な守備がまるではまらず、攻撃も行き当たりばったりの印象が強い。対戦が2巡目に入ると、相手チームも緻密なスカウティングを施す。引き寄せてカウンターを狙えば点が取れる、リトリートすれば攻撃は停滞する、サイドアタックに怖さはない、などなど。ヴェルディはすっかり与しやすい相手となっていたのだ。安定しない内容が続き、一時は11位まで順位を落とした。
 
 大きな変化を加えたのは、26節のロアッソ熊本戦からだ。基本システムとしてプレシーズンからその質向上に邁進してきた3-4-3を捨て、時折試験的に導入していた4-3-3への転換に舵を切った。
 
 ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は「新しい形に変えるのに最適なタイミングだった。形の変化は、選手たちにフレッシュな感覚を持たせ、学びの姿勢をも喚起できる。効果的なチェンジになったね」と話し、指揮官の右腕であるコーチのイバン・パランカは「問題点をあらためて総点検した。攻撃も守備もより前がかりに行くための変化であり、選手個々の特性を引き出せるようになった」と、力を込める。イバン・コーチはバルセロナの下部組織とヨハン・クライフ氏から4-3-3の真髄を学んだ指導者。「ついにこの時が来た」と叫びたい気分だろう。
 
 そんななか、新たな役割を得て、チーム内での重要度をさらに高めた選手がいる。アンカーに指名された内田達也だ。春にガンバ大阪から期限付き移籍でやってきた25歳のボランチは、いまやヴェルディにもっとも欠かせないキーマンとなっている。
 
 内田はこの変化をどう捉えているのだろうか。
 
「きわめてオーソドックスな4-3-3です。前の3-4-3は最初こそ守備が機能して結果も出てましたけど、徐々にバランスが悪くなった。とくにプレスのところ。前は1トップと2シャドーで、その2シャドーがウイングの位置まで張り出して守備をしなきゃいけなかった。かなりの負荷がかかってて、それによってチーム全体の機能性も高まってこなかった。それがいまはウイングがそこは普通に見て、中央のところはインサイドハーフが対応する。いたってシンプルで普通。でもそこの違いがすごく大きい」
 

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