【総体】6年で5度目の夏制覇! 常勝・日ノ本学園を率いる女性監督、田邊友恵の情熱と葛藤

2017年08月06日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「連覇をしてた時はとにかく勝つことに必死だった」。

教え子たちに胴上げされて、恥ずかしそうな笑顔を見せる田邊監督。就任6年目で7度目の日本一だ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 見事、覇権を奪還した。全国高校総体(インターハイ)の女子決勝で、日ノ本学園は連覇を狙った藤枝順心を1-0で撃破。2年ぶり5度目の優勝を飾った。
 
 インターハイ女子の歴史は浅い。正式に競技種目となったのは2012年度からで、今回がまだ6度目。そのなかで日ノ本は、5度も夏を制しているのだから驚きだ。チームを率いるのが、田邊友恵監督である。

【インターハイ女子決勝PHOTO】日ノ本学園が藤枝順心を下し、2年ぶり5度目の優勝!

 情熱の指揮官、として名を馳せる。現役時代はアルビレックス新潟レディースでプレーし、引退後に指導者に転身。2008年からJAPANサッカーカレッジレディースで指揮を執り、2012年に日ノ本学園の監督に就任した。以後、高校選手権を2度制し、インターハイが今回を入れて5度と、合計で7度の日本一に輝いている。実績だけで見れば、ダントツの結果を残しているのだ。
 
 取材をすると、いつも誠実に礼儀正しく対応してくれる。ほとんど勝った試合にしか遭遇していないが、つねに試合後はスマイリー。だが言葉の端々に、ほとばしる情熱を感じる。
 
 一度、なぜそんなに勝てるのか、秘訣を教えてほしいと訊いたことがある。すると、「そんなのあったらわたしが教えてほしいです。いつも悩んでばかりですよ。毎年毎年どうなるか分からない中で必死に取り組んできただけです」と返され、くだらない質問だったと反省した。
 
 常勝軍団を率いてきた田邊監督だが、昨年度は就任以来初めて、無冠に終わった。インターハイは準決勝で藤枝順心に、選手権は2回戦で十文字に敗北。ともにその大会の女王となるチームの後塵を拝した。
 
 ひとりの指導者として、微妙な心境の変化があったという。
 
「連覇をしてた時はとにかく勝つことに必死で、ハーフタイムなんかでも『やれよ!』みたいなことばかり言ってたんですけど、今年になってから少し変わったかもしれません。指導者として冷静に状況を見極めて、選手たちがしっかり戦えるように声掛けをしようと思い、臨みました」

次ページ3日間ぶっ続けのミーティングでチームがひとつに。

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