【黄金世代】第3回・小笠原満男「美しき東北人魂~これが俺の生きる道」(♯6)

2017年07月17日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

いつまでも淡々と黙々ではダメだったんだと思う。

長編となった連載も今回が最終回。38歳となった小笠原満男の「いま」を切り取る。写真:佐野美樹

 小笠原満男とは、いったいどんなフットボーラーなのか。

 本人にそのまま訊いてみたのだが……。
 
「なんだろ。サッカーが好きで、ただ勝ちたくてやってて、でも不器用で……。いやいや、上手く説明できないな。あんまり考えたことないから」
 
 と、やや難易度が高かったようだ。では、これまでのキャリアでサッカーに対する価値観はどのように変わってきたか。それなら大丈夫だろう。
 
「えっとね、若い頃は点取りたい、アシストしたいだったのが、いまはとにかく勝つためのプレーってのを一番に考えるようになった。やりたいプレーをやるんじゃなくて、チームに必要なプレーだよね。それって時間帯や試合の状況によって違うし、対戦相手によっても変わってくる。そこのところを深く考えられるようになった。
 
 だから、狙った通りの試合運びをできたときとかは、喜びを感じるよね。チームに必要なプレーって、ときに守備だったり、ファウルして止めるだったりもあると思う。基本、いまはそこしか考えてないかな」

 
 初めてミツオに会ったのは、彼が高2の時だった。表情はいつもニコヤカだが、基本的に黙して多くを語らずで、とてもシャイな若者だった。
 
 それがいつから変わったのだろう。いま現在の凄みが半端ない。鹿島アントラーズでは闘将のイメージが定着しているし、その言動には、常に強いメッセージが込められている。
 
「やっぱり俺は岩手、東北の人間だから、黙々と淡々としていたい。いまだってそのまま行けるならずっとそうしていたいけど、立場が変わっていく中で、発しなければいけない必要性が出てきたりでね。やっぱり言葉で引っ張らなきゃいけない、若い選手たちに声を掛けなきゃいけないときってあるからさ。いつまでも淡々と黙々ではダメだったんだと思う。もともとはそのほうが性に合ってるんだけどね。楽だし。だから頑張って、演じてます(笑)」

【PHOTO】小笠原満男の華麗なるキャリアを厳選フォトで

次ページ活動の中から、未来のJリーガーが育ってくれたら嬉しい。

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