【現役主審に問う|西村雄一×岩政大樹 #4】ビデオ判定には賛成or反対?レフェリーから見た影響は

2017年07月21日 岩政大樹

日本には4級から1級まで審判は何人いるのか?

(C)SOCCER DIGEST

岩政大樹 西村さん自身の今後の目標は?
 
西村雄一 次の1試合に全力を尽くすことです。大会の規模やカテゴリーに関係なく、レフェリーがやることはどの試合も同じ。少年サッカーの試合もワールドカップの試合でも、同じ様に選手のために全力を尽くすようにしています。

 ところで岩政さん、日本には4級のお父さんお母さんレフェリーから1級まで何人くらいいると思います?
 
岩政 結構な人数がいますよね。
 
西村 26万人いるんです。
 
岩政 えっ⁉
 
西村 都道府県のカテゴリーでは、相互審判をしなければいけない関係で、必ずチームに有資格者のレフェリーを登録しなければいけない。よって、この人数になっています。
 
岩政 すいません。数千人だと予想していました。
 
西村 26万人のなかで、Jリーグやなでしこの審判をしているのが260人前後。ですから0.1パーセントのレフェリーが、トップリーグの試合を担当しているんです。
 
岩政 それだけ選りすぐられたレフェリーでも、ひとつのミスで選手やサポーターの反感を買ってしまう。難しい仕事です。
 
西村 レフェリーの印象が一度悪くなると、かなり長い間みなさんの記憶に残ります。もちろん、レフェリーも最善を尽くしていますが、そんな時は、だいたいどのスタジアムに行っても「また西村だよ」と言われます。イメージを覆すのは、非常に難しく大変ですね。
 
岩政 西村さんの理想が実現すると忘れ去られるのに、悪い印象だけは残ってしまう。それはつらそうですね。
 
西村 確かに、そうなるとレフェリーはつらいですね(笑)。でも、選手の夢を支えるという強い情熱をもって毎試合やっています。
 
岩政 つらい時の対処の仕方はありますか?
 
西村 サポーターの皆様からのご意見やお叱りは、当然あることだと思っています。それに、選手のほうが、サポーターから厳しいことを言われていますからね。
 
岩政 やっぱり凄いですよ。犠牲心の塊というか。
 
西村 いろんなサッカーの楽しみ方があると思いますが、やっぱりレフェリーだからこそ味わえる楽しさもあります。学生時代に見ていた岩政さんが、鹿島の主力になり、日本代表にもなった。その過程を近くで見られるのは嬉しいです。

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