プロ9年目で掴んだ主力の座。元日本代表の山田直輝が今ようやく湘南で輝き始めたワケ

2017年07月10日 佐藤亮太

山田直輝ほど期待されながら、不遇なサッカー人生を送ってきた選手はいないかもしれない。

2011年には日本代表にも選出されデビューしていた山田。浦和で陽の目を見なかったその才能が、ようやく湘南で解き放たれようとしている。(C) SOCCER DIGEST

「65パーセントくらいかな。でも充実感はあります」
 
 7月2日の日曜日。湘南ベルマーレの練習場・馬入ふれあい公園サッカー場。炎天下でのトレーニングを終えた山田直輝がピッチ脇に置かれたベンチに座り、シーズン開幕からここまでを、そう振り返った。
 
 運動量を武器に、小さい身体でピッチを縦横無尽に走り回り、スルーパスで相手の守備を崩したかと思えば、時折強烈なシュートを放ってスタジアムを沸かせている。
 
 我々が見たかった山田直輝のプレーがようやく陽の目を見ている。
 
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 山田直輝ほど期待されながら、不遇なサッカー人生を送ってきた選手はいないかもしれない。
 
 2008年、浦和レッズユース在籍中にトップ登録。翌09年にトップチームに昇格し、その年に日本代表に初招集。将来の浦和レッズ、将来の日本代表の中心と嘱望されたが、10年には2度にわたる右腓骨骨折。さらに12年には左膝前十字じん帯損傷の大怪我を負い、このほかにも小さな怪我を繰り返した。
 
 怪我さえなければ活躍できる、周囲はそう思った。しかしゼリコ・ペトロヴィッチ監督(11年)、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(12年~現在)には、戦術上の理由からほとんど起用されなかった。
 
 15年に湘南ベルマーレに期限付き移籍。1年目は17試合、2年目の16年は11試合に出場したが、ほとんどが途中出場だった。
 
 しかし、今季は22節終了時(7月9日現在)で、20試合に出場。前年、前々年の出場数をすでに越え、今年は出場した試合はすべて先発出場している。
 
 怪我と不運に泣かされた山田が今、勇躍しているのだ。

次ページ「自分自身にベクトルを向けている」プレーへの意識が大きく変化。

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