【名古屋】昨日の敵は今日の友。市船&流経の千葉二強トライアングルが魅了する左サイドに注目!

2017年06月11日 安藤隆人

高校時代に全国の頂点を極めた3人が絶妙なコラボ。

前節から左SBで起用される青木。アグレッシブなプレーで名古屋の攻撃を活性化した。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 市立船橋と流経大柏。
 
 千葉県を代表する、いや全国を代表する高校サッカーの二強は、これまで多くのJリーガーを世に輩出してきた。千葉県内では互いに意識し合う強烈なライバルとして何度もしのぎを削り、さらにはインターハイ全国決勝の舞台でもたびたび顔を合わせるほどのハイレベルな青と赤の両チームの卒業生たちは、Jクラブで良きチームメイトとなることも珍しくない。
 
 J2リーグ18節・東京ヴェルディ対名古屋グランパスの一戦でも、青と赤の卒業生たちが息のあった連係を見せ、試合を盛り上げた。
 
 名古屋の左サイドハーフ・和泉竜司は市立船橋出身、左ボランチの田口泰士と左サイドバックの青木亮太は流通経済大柏出身。興味深いのは3人全員が高校時代に"頂点"を極めていることだ。
 
 和泉は2010年度のインターハイ、翌11年度の選手権で優勝を経験。田口は07年度に高円宮杯全日本ユースと選手権の二冠を経験し、翌08年度のインターハイでも優勝。ちなみにこのインターハイでは中村充孝(現鹿島)率いる市立船橋と両校優勝だった。そして青木は13年度の高円宮杯チャンピオンシップで高校チームとして初制覇。彼らの実績を見るだけでも、この千葉県の「二強」がいかに全国でも突出した存在なのかが分かるというものだ。
 
 話はそれたが、東京V戦ではこの『千葉二強トライアングル』が前半から名古屋の攻撃を活性化した。
 
「竜司君と泰士君は必ず僕の動きを見てくれるし、パスを出した後に動き出しもしやすいので、3人で崩せる手応えはあります」と青木が語ったように、積極的に攻撃参加を仕掛ける青木の動きを、和泉と田口が視野に捉え、的確なスペースメイクとパス供給で活かしていく。
 12分、左サイドで青木がドリブルで仕掛けると、和泉が縦に抜け出し、パスを受けてドリブル。これはファウルで阻まれたが、このFKを田口が正確なキックを供給し、チャンスを作り出した。直後の15分には田口が起点となり、FW杉森考起のプロ初ゴールを演出すると、18分には和泉がインタセプトからFWシモビッチに縦パス。シモビッチのポスト強襲のシュートを引き出した。
 
 22分には自陣左で和泉が敵に囲まれながらボールを拾うと、平行に寄って来た青木へパス。青木は鮮やかなダブルタッチで寄せて来たFWを交わし、ドリブルからMF八反田康平へ正確な縦パスを送り、カウンターの起点に。28分には和泉のヘッドを田口が拾い、キープから青木とワンツーで前に出て、シモビッチへ正確なラストパスを供給する場面を作り出した。
 
 名古屋の左サイドは和泉、田口、青木の3人による絶妙なコラボレーションで再三チャンスを生み出していた。

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