【日本代表】イラク戦のキーマンは昌子源。不安と期待が同居するCBが備えた、森重真人との”違い”とは?

2017年06月09日 清水英斗

昌子は試合の立ち上がりから、フワフワと浮いていた。

代表3試合目だった昌子は、上手く試合に入り込めていなかった。(C)SOCCER DIGEST

[キリンチャレンジカップ] 日本 1-1 シリア/6月7日/東京

 塩っぽい前半と、美しい後半。キリンチャレンジカップ2017のシリア戦と同様の展開は、ワールドカップ最終予選、アウェーのイラク戦でも予想できる。
 
 強靭な守備を見せたシリアと同じく、イラクもフィジカルの強さとハードワークに定評がある。同じ中東でも、前線の個の力に任せてサッカーをするUAEやサウジアラビアとは特徴が違う。相手の体力が充分に残っているうちは、守備を破るのは簡単ではなく、0-0の時間が続くことを覚悟しなければならない。
 
 先制点を与えず、我慢して後半を迎えること。その意味でキープレーヤーは、DF昌子源だ。
 
 シリア戦の48分、コーナーキックの流れから先制を許したのは、明らかに昌子の失態だった。クロスに対する目測を誤り、届くと思ったボールが頭上を越え、自分がマークしていた19番のマルドキアンにフリーでヘディングをさせてしまう。
 
 このミスには伏線があった。そもそも昌子は、ゴール前のポジションにつくのが遅く、シリアがショートコーナーで再開した時、まったくボールを見ていない。集中が抜けている。それは昌子だけではなかったが、この準備の悪さが、平凡なイージーミスを引き起こしたのは反省点だ。
 
 昌子は試合の立ち上がりから、フワフワと浮いていた。12分にはシリアのクリアボールが大きくバウンドしたところで目測を誤り、ボールを逸らして19番マルドキアンにスペースを突かれてしまった。31分にもクリアの処理ミスから、決定的なカウンターを食らいかけている。
 
「ちょっと自分でも硬いなと思いました。何でかと言われたら、わかんないですけど。普段より、敵を近くに感じたりしてました。Jリーグでパッと顔を上げたら、敵が遠いから、案外落ち着いてパス出せたり、ドリブルしたりできるのに、(シリア戦は)パッと見たら『あっ、近い』と思ってパス出して、ようよう見たらあんま近くなかったとか。自分でも硬い、あがってんのかなと思った」
 
 昌子はA代表3試合目の出場だが、過去の2試合は単純な親善試合だった。しかし、今回は森重真人が落選し、スタメンが有力視されるなかで、最終予選に向かうための大事なテストマッチだ。プレッシャーの次元が違う。

次ページ軽々と追いついてしまうスピードが、昌子の大きな魅力だ。

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