【U-20W杯で考える】殴られて初めて目が覚める日本… 立ち上がりの弱さが意味するものとは

2017年05月28日 熊崎敬

まるで初めて海外に出て、トラブルに巻き込まれる学生のようだ。

3試合連続で前半のうちに先制されながらも、なんとかグループステージ突破に漕ぎつけた。決勝トーナメントでは違った姿を見せられるか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 イタリア戦には、ふたつのゲームがあった。
 第1試合は2-2に追いつくまでの50分間。第2試合は2-2になってからタイムアップまでだ。

【U-20W杯|日本 2-2 イタリア PHOTO】堂安が渾身の2ゴール!日本、3位で決勝Tへ
 
 1試合目は最悪のスタート。だが、なんとか引き分けに持ち込んだ。
 2試合目はイタリアと共謀してのスコアレスドロー。観衆を退屈させたが、まあ、こういうレギュレーションだから仕方がない。
 
 さて、引き分けオーケイ、敗北は絶対に許されない一戦は、目を覆うような形で始まった。先制点だけは与えてはいけないというのに、3分に失点、さらに7分にもゴールを割られた。
 
 失点の形も悪い。
 先制点は右サイドの裏を取られ、そこからのクロスを逆サイドから飛び込んできた敵に決められた。つまり、2度も背後を突かれている。
 セットプレーから決められた2点目も、完全にマークが置き去りにされた。
 
 立ち上がりに浮足立つというのは、日本の大きな課題だ。イタリア戦だけではなく、過去2試合も日本は前半に先制点を許している。
 南アフリカ戦は7分、ウルグアイ戦では38分に失点した。
 
 日本が立ち上がりに弱いのは、敵の動きに慣れるまで時間がかかっているからだ。南アフリカ戦では敵のスピードに次々と背後を取られていたが、このイタリア戦でも敵のプレスに精神的にも受け身になり、墓穴を掘ることになった。
 殴られて、初めて目が覚める。ここまではなんとかなったが、一発勝負の決勝トーナメントでは許されないことだ。
 
 こうした立ち上がりの弱さは、ひと言でいえば国際経験の欠如が原因だと思う。日本は外国人と接する機会が少なく、その日本で運営されるJリーグも例外ではない。私たちメディアは、国際舞台に出るたびに世界、世界と書き立てるのは、そのためだ。過剰に世界を意識させている可能性もある。
 イタリアもウルグアイも南アフリカも、たぶん世界、世界といって騒いだりしないだろう。
 
 そして実際に国際経験の少ない選手たちは、きょろきょろしながらゲームを迎え、手痛い経験をする。まるで初めて海外に出て、トラブルに巻き込まれる学生みたいだ。
 

次ページメディア不在のイタリアは誰が活躍しても騒ぎにはならないが…。

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