【横浜】前人未踏の550試合も通過点。39歳の中澤佑二が走り続ける理由

2017年05月26日 藤井雅彦

過去3年で警告の数はたったの2回。

今季も開幕から不動のCBとしてピッチに立ち、質の高いディフェンスを随所に披露する。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 節目の試合が近づいても、中澤佑二の様子はまったく変わらない。グラウンドに入ると誰よりも大きな声で練習に活気をもたらし、若手選手をイジることで雰囲気を盛り上げる。
 
 給水タイムでは、ポジションの近い選手と積極的にディスカッションするベテランらしい一面をのぞかせ、後輩の声にもしっかり耳を傾ける。トレードマークのボンバーヘッドは、常にトレーニングの中心にいる
 
 5月27日の清水戦に出場すると、フィールドプレーヤーでは史上初となるJ1通算550試合に到達する。本人が数字について試合前に語ることはないが、もちろん偉大な記録である。
 
 中澤の上には、GKという異なるポジションで631試合に出場している楢﨑正剛(名古屋)がいるだけ。中澤の記録は550試合で止まるわけではなく、数字はこれからも伸びていくだろう。したがって通過点にすぎない。
 
 昨季まで3年連続フルタイム出場を続け、今季もここまでの全12試合にフル出場している。まさしく"鉄人"の歩みである。日々の鍛練と徹底的なメンテナンスで負傷のリスクを最小限に抑え、クリーンなディフェンステクニックで不必要な警告を受けない。
 
 CBというリアクションの動作が多いポジションながら、2014年は警告1枚、2015年は警告ゼロでフェアプレー賞を受賞、そして2016年も警告1枚。過去3年でたったの2回しか警告を受けていないことは、DFにとって最高の勲章かもしれない。
 
 しかし、今季のここまでの道のりは平坦ではなかった。現在、中澤の両膝には痛々しいほどのテープが巻かれ、それは試合でも練習でも変わらない。
 
「テープを取りたいけど、取ったら痛みが出てしまうんです」
 
 昨季、横浜は天皇杯を勝ち進み、12月29日の準決勝に進出。その日、G大阪に敗れてシーズンの全日程を終了したが、すでに今季の始動日は1月16日に決まっていた。新シーズンに向けた充電期間は2週間と少しだけ。ベテランの中澤にとってはコンディション調整が難しいカレンダーだった。

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