【現地発】日本代表MF、小林祐希のメンタルを鍛え上げた「ブレインストレッチ」って!?

2017年05月08日 中田徹

ストレスに対する耐久性が上がった小林。

EL出場をかけた厳しい戦いが続くヘーレンフェーン。その主力として活躍する小林からは、精神面での充実ぶりが窺える。(C) Getty Images

 現在、エールディビジ8位のヘーレンフェーンは、5月7日のズウォーレ戦を1-2で落とし、ヨーロッパリーグ出場をかけたプレーオフ出場が可能となる9位以内を確定できなかった。欧州戦線進出というクラブの大夢は、5月14日の最終節・NEC戦に持ち越しとなっている。
 
 日本代表MFの小林祐希は、惜しいFKでズウォーレゴールを強襲したほか、スルーパスからビッグチャンスを創出するなど、とりわけ前半は好機を演出していた。
 
「ドリブルで仕掛けてスルーパスとか、前向いて動き出している人がいたら長いボールでも出すとか、ワンタッチのフリックも今日は多めにできた。自分としては悪くなかったと思います」と、本人も手応えを口にした。
 
 今シーズン、エールディビジで29試合に出場している小林だが、実はまだ2枚しかイエローカードを受けていない。
 
 1枚目は、オランダデビューを飾ったトゥエンテ戦で、「自分は戦えるプレーヤーだ」というのを見せるために故意にファウルをしたもの。2枚目は4月4日のスパルタ戦。この時は疲労が蓄積していた影響でボールタッチが乱れ、とっさに足を伸ばした際に、相手と激しくぶつかったものだ。
 
 本人はこうした状況について、「Jリーグでプレーしていた時は、レフェリーに文句を言ったり、相手を削ったりしてイエローカードを貰ってたけど、今はそういうイエローカードはないです」と語る。
 
 つまり現在の小林は、いわゆる「くだらないイエローカード」をもらうことがなくなったわけだ。
 
 こうした変化からはメンタル面の落ち着きぶりが窺える。この精神的成長は、小林が脳をトレーニングすることによって身につけたものだ。そのメソッドを本人は、「ブレインストレッチ」と言う。早い話が瞑想だ。
 
「"瞑想"と言うと堅苦しいから"ブレインストレッチ"という言葉を作り出したんです」
 
 そんな小林の場合、1回、目を閉じれば3分から5分で"無"の状態に入ることができ、それを30分から1時間続けることができるという。その間、脳は何も考えずに休む状態が続くという。
 
「30分間、"無"の状態を続けられるか。それとも1時間か—―。それは日によって変わります。自分の感情や考えていること、溜まっているストレスなどによって、俺は変わっちゃうんです。それが変わってこなくなると凄く良いんですけれどね」
 
 ブレインストレッチを続けた結果、「ストレスへの耐久性がすごく上がった」という小林は自分の感情をコントロールする術を知り、試合中に無意味に怒る場面も減り、それがイエローカードをもらわないことに繋がった。
 
 本人も自身の変化を「俺は自分に加わったストレスに対して、すぐに怒り、感情が出てくるタイプなんですよ。それが、いいバランスになりました」と、ポジティブに捉えている。
 

次ページ「脳をいかに鍛えるか?」はサッカー界のトレンドになりつつある。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事