【藤田俊哉の目】本田以来8シーズンぶり! VVVフェンロ2部優勝の舞台裏とは

2017年04月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

優勝を目前に大敗の連続…。選手たちは“優勝へのストレス”を感じていた。

優勝を決めたピッチ上で、監督と記念の一枚。藤田コーチも喜びを爆発させた。

 僕がコーチを務めているVVVフェンロが、8シーズンぶりのリーグ優勝を成し遂げることができた。このクラブにきて3年半が過ぎたけれど、ようやく結果を残すことができて素直に嬉しいね。
 
 今シーズンのVVVは、開幕直後から好調を維持していた。連敗は一度だけ。まさに独走状態だった。ところが終盤戦、チームの歯車が狂い始める。3月17日のドルトレヒト戦で2対5と大敗し、続くNAC戦では0対4の完敗を喫した。自慢のディフェンス陣が崩壊し、たった2試合で9失点を与えてしまった。このときばかりは、さすがにチームの雰囲気も沈んだ。日本では"優勝へのプレッシャー"と表現することが多いが、フェンロでは"優勝へのストレス"という表現をしている。選手たちもそのストレスを感じていた。
 
 ただ、何事も経験が大事だ。なにかを成し遂げるには、やはり一筋縄ではいかないものである。しかし、状況を打破するために、指揮官は安易に戦術やシステムを変更するようなことはしなかった。あくまでベースは4−3−3のシステム。良くも悪くも「スタイルを変えない」というのがオランダ流だ。
 
 ターニングポイントは2連敗後の4月7日、アルメレ・シティ戦。ホームながら先制点を許したものの、3対2で逆転勝利を収める。自らの力で"最後の壁"を乗り換えて昇格に王手をかけると、続くRKC戦ではアウェーながらラスト3分で劇的な決勝ゴールを奪って、ついに昇格を決めたのだ。
 
 昇格は5シーズンぶりだが、優勝になると実に8シーズンぶりの快挙となる。あくまでクラブの目標はリーグ優勝すること。昇格を決めた次の試合(エメン戦)はホームでスコアレスドロー。そして続くアイントホーフェン戦で、引き分け以上で優勝が決まる——。そんなシチュエーションのなかでアウェーの地へ乗り込んだ。

次ページ勝点1を取るべく攻めるべきか、後ろで回すべきか――。

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