中村駿太が青森山田にもたらすプラスアルファ。「サッカーの話ができるのは大きい」

2017年04月18日 松尾祐希

ファーストディフェンダーとしての芽生え。

得点こそなかったものの、市船戦では守備で貢献するなど存在を誇示。中村のフィット度は試合を重ねるごとに高まっている。写真:松尾祐希

 これぞ青森山田!! そう言わしめる、圧巻の勝ちっぷりだった。
 
 4月16日のプレミアリーグEAST第2節、青森山田は地元に市立船橋を迎えた。前年度のチャンピオンシップ覇者にとっては、負けが許されない一戦だ。浦和レッズユースとの開幕戦で一時は2点をリードしながら逆転負け。連敗は是が非でも避けたいところだ。
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 試合開始直前から吹き始めた強風のなか、前半を風下で戦うこととなったホームチームは、序盤から我慢の展開を余儀なくされる。それでも、前半終了間際にMF堀脩大(3年)のFKからU-18日本代表のMF郷家友太(3年)が頭で先制ゴールを奪取。試合の流れを一気に手繰り寄せると、後半はハードワークをベースに一体感のある堅守で相手を封殺。最後まで市立船橋に自由を与えず、クリーンシートで勝利を掴んだ。
 
 その姿に高校選抜を率いる黒田剛監督の留守を預かる正木昌宣コーチも、頬を緩めた。
 
「彼らもこの試合でちょっと自信を付けたと思う。やっぱり同じ高体連のチームで、負けたくない相手。EASTには2チームしか高体連がないし、今後一年、間違いなくライバル関係になっていくので」
 
 高体連組としてリーグ戦だけに留まらず、一発勝負のインターハイや選手権でも凌ぎを削る好敵手。そこから挙げた今季初勝利は、勝点3以上の大きな意味を持つ。
 
 ではなぜ、勝ち切れたのか。理由のひとつは、FW中村駿太(3年)の存在だ。「『トップに上がれないのかな』と察するようなことが続いた。僕(の夢)はプロになって成功したいというのが一番。『このままでいいのか』と思い始めていた」との想いで、3月中旬に柏レイソルU-18から転籍してきた。この生粋のストライカーが、青森山田流の守備に見事ハマっているのだ。これはチームが蘇生するうえで小さくないプラス要素となった。

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