「宝石ディバラ」を徹底解剖。メッシとの関係、プライベート、未来予想図は?

2017年04月12日 パオロ・フォルコリン

ディバラとメッシはどこか似ている。

先のバルサ戦では憧れのメッシと初対戦。眼前で2ゴールを奪って見せた。(C)Getty Images

 現地時間4月11日のバルセロナ戦(チャンピオンズ・リーグ準々決勝ファーストレグ)でも2ゴールを挙げるなど、入団2年目にしていまやユベントスの命運を握る存在となったパウロ・ディバラ。23歳にしてイタリアの盟主を牽引するアタッカーは、いま何を思い、どこに向かおうとしているのか。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙の元ユーベ番であるパウロ・フォルコリン記者が、8つのキーワードから徹底解剖する。
 
 
■キーワード1:リオネル・メッシ
 13日の金曜日。アメリカでそんなタイトルの映画があったせいか、西洋世界でも一番不吉な日だと思われがちだ。だが、イタリアは少し違う。「13」に特別なこだわりはなく、むしろ忌み嫌われるのは「17」だ。そして、チャンピオンズ・リーグ準々決勝の組み合わせ抽選会が行なわれた日が、まさにこの「17日の金曜日」。ユベントスは見事にバルセロナを引き当てた。
 
 抽選会で対戦カードを決める運命のカプセルボールを引いたのは、かつてユーベでプレーしたこともあるイアン・ラッシュだった。1987年にミシェル・プラティニに代わってユーベに加入したウェールズ出身のストライカーは、どちらかというとゴールよりもビールに対する情熱のほうが大きかったのを覚えている。
 
 ユベンティーノに舌打ちで迎えられたラッシュだが、この抽選会でサッカー界にもたらした功績は小さくないだろう。世界の頂点に君臨するリオネル・メッシと彼の後継者候補であるディバラを大舞台で対峙させることに成功したからだ。
 
 新旧のベスト・オブ・ベストと言っても過言ではない2人の戦いは、サッカー界を無条件に盛り上げる。
 
 群れの主権を巡ってリーダーと若いライオンが戦うアフリカのドキュメンタリーを見たことがあるだろうか。まさにこの試合は、真のリーダーを決める野生ライオンの戦いだ。そして、必ずしも現リーダーが勝つとは限らない(4月11日のファーストレグはディバラの2得点もあってユーベが3-0で勝利。セカンドレグは4月19日に開催)。
 
 ディバラは今年の11月で24歳、一方、若いと思っていたメッシは6月でついに30歳を迎える。それぞれユーベ、バルサというメガクラブの中心選手だ。アルゼンチン出身、レフティー、小柄と共通点も多い。では、ディバラはメッシをどう見ているのだろうか。
 
「メッシが僕を評価してくれているのは知っているよ。父親世代のマラドーナのように、僕らにとってメッシは神様みたいな存在だ。その彼が褒めてくれた。聞き漏らすわけにはいかないよね。とにかく、ものすごく光栄だよ。だってメッシみたいになることを目指して、みんな子供の頃から頑張っているんだから。もちろん、僕もそうだった。12歳で初めて彼のプレーを目撃した時からずっと。メッシのチームメイトは、本当にラッキーだと思うんだ。だって、彼にはいつも複数のマークがつくでしょ。他の選手はその分やりやすくなるはずだから。一緒にプレーしたいなって、子供の頃から思っていた」
 
 少年時代から抱いていたその夢は、昨年9月に実現した。代表4キャップ目となったワールドカップ南米予選のウルグアイ戦で、初めてメッシと同じピッチに立ったのだ。しかし喜びも束の間、記念すべき試合を最悪の形で締めくくることになる。前半終了間際に2枚目のイエローカードを頂戴し、退場を命じられたのだ。
 
「まるで世界中が僕のうえに崩れ落ちてきたような気分だった。悔やんでも悔やみきれない。チーム全員に謝って回ったよ。幸いだったのは、試合に勝てたこと(メッシがゴールを決めて1-0で勝利)。南米予選は厳しいからね。貴重な3ポイントだった」
 
 夢が叶った試合で退場。ショックだっただろう。ただ、実はメッシも似た経験がある。彼は代表デビュー戦で退場しているのだ。この2人は、どこか似ている。

次ページディバラ不在ならユーベはシステム変更も。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事