ドイツ以外での成功が難しいのはなぜか? スカウトになった94年J得点王オッツェが見た日本人選手とは

2017年03月10日 加部 究

清武が帰ってしまったのはブンデスリーガにとっても損失。来てくれるなら獲得したい。

今季C大阪に復帰した清武。オッツェ氏は今でも獲得の意思を示している。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 日本ではオッツェの愛称で親しまれたフランク・オルデネヴィッツ氏が、6月に開校する「日独フットボールアカデミー」の校長に就任し来日した。ジェフ市原(当時)に在籍した1994年にはJリーグの得点王も獲得。現役を退いた後は、ヴェルダー・ブレーメンのスカウトとして繰り返しJリーグの視察にも訪れており、日本の事情には精通している。今回も「名前は言えない」ものの着目した日本人選手の視察も兼ねており、彼我の相違などプロのスカウトの客観的な見解を聞いてみた。
 

 
――率直に今のJリーグは、ブンデスリーガと比較してどのくらいのレベルにありますか?
 
「もちろんそれぞれのチーム力や選手たちの平均値を比べれば、やはりレベルの差はある。浦和ならブンデスリーガでも戦えるかもしれないが、他の多くのクラブは2部と同じくらいではないだろうか」
 
――かつてブンデスリーガ2部のボーフム在籍時に、チョン・テセが「Jリーグの方がカバーリングの意識が高いから難しい。ドイツでは一発抜ければ、ビッグチャンスになる」と話していましたが。
 
「ドイツではボール周辺のスペースを消して来るから、そこを抜け出すとチャンスが広がるのかもしれないね。でもブンデスリーガでは、味方の能力が高いから、Jリーグより個人で切り拓く必要は少ない」
 
――これまで実際に獲得に乗り出した日本人選手はいましたか?
 
「清武弘嗣は欲しい選手で、会って(ブレーメンに来てくれるように)話もした。テクニックがしっかりしていたし、リスタートのキッカーとしても適任だったからね。しかも外国に出て挑戦するという意欲にも満ちていた。残念ながらニュルンベルクに行ってしまったけれど、思っていた通りにドイツでも素晴らしいプレーを見せた」
 
――今でも欲しい選手ですか?
 
「もちろん来てくれるなら獲得したい。逆になぜ日本に帰ってしまったのか、理由を知っていたら教えてほしいくらいだ。清武がいなくなったのは、ブンデスリーガにとっても損失だし、彼が年齢的に最も熟していることを考えると、日本に戻ってしまうのは本当にもったいないことだと思うよ」

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